入院生活 ⑤ (Mさん) | 緋鷹由理 

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たぬこと熊太の徒然日記を主に掲載しています。

もう一人Mさんという、20代の女性と知り合います。

 彼女は私より大変な病気に悩まされていました。

 幻聴、幻覚、妄想、はては、自分の記憶に残らない行動をしてしまうという、大変なものでした。

 病気のきっかけは、ストレスから過食になり、摂食障害を起こします。

 彼女は、その摂食障害を治すために、完治率の高い病院に入院しますが、あろう事か、それが裏目に出て、神経をおかしくしてしまったのです。

 彼女は仕事も出来なくなり、自殺未遂を繰り返すようになります。

 その挙句、両親に連れられ、入院することになったのだそうです。

 彼女の人生は壮絶なものでした。

 たった数年の間に、健康だった彼女は、口もきけないほど悪くなっていったのですから。

 彼女に比べたら、私の人生は、ちょっと道からそれただけの事です。

 彼女は病状が悪いときは、個室にも入ったそうです。おりのような囲いの中で、24時間監視され、トイレの水さえ、看護士に流してもらうという、女性としては、過酷過ぎる場所だといいます。(ちなみに水でも、自殺できるそうで、たとえトイレの水でも、油断は出来ないといいます)

 彼女の仕事は看護士でした。死に対しても、病気に対しても、過ぎるほどの知識がありました。

 だから、自殺の方法は、一般人では考えられないものでした。トイレの水でも、溺死ではない、自殺方があるといいます。

 看護士も、彼女にはことのほか、気を配っていました。私も、彼女から様々なことを教えてもらいました。

 病気についても、自殺についても、私のやり方は、まだまだぬるいそうです。

 首吊りなんて、一般的で、しかも細い紐を幾重にも首に巻くことで、飛び降りたときに、首の骨が折れることなく、しかも、首を広範囲にじんわり閉めたことが幸いして、神経へのダメージが避けられたといいます。

 『なるほど~』と彼女の知識と解析力に感心するばかりです。

 彼女の病気は、薬物治療しかなく、完治にも時間がかかるようです。

 それでも、彼女は少しでも早く退院したいと言います。

 私は、少しでも長く入院したいと、思ったのですが、ある程度のところで、退院しないと、社会復帰ができなくなるそうです。

 Mさんとは、2ヶ月程度、入院生活を送りましたが、彼女の影響も、精神や神経を患う人への理解に大きく、役立つことになるのです。