*ネタバレ苦手な方は避けて下さい!

 

***

 

③シンボリオンでのごたごた

 

 

199p

『そんなわけで、教授たちはここに来る前、人質を救う方法について深く論議してから結論を決めた。君の役割も決まった。一度目は何なのか言うと、ネニャプルを離れてケルティカにいる間に君にはさまざまなことが起きたよね?それで何か知ることになってるよね?』

もちろんだ。ネニャプルの教授たちが知らなくてはならないような問題を沢山分かったとも。
マキシミンはシンボリオンに連れ出された立場だったが、こうなった際にみんなにイスピンがしていること、とくにアイアン・フェースに関わった部分を明かして解決を促すつもりだった。四百年も生きてきた人間かプシキか分からない存在でも、このテーブルを囲んで座っている各国最高の魔法使いたちが力を合わせたら遠足のあとの遊びに過ぎないのではないか?
イスピンは人を信じないところがあったけど、まあ自分もそうだけど、でもネニャプルの教授はある程度の道徳心を持っているようで。。。そうする過程でマキシミンがしたとあの人たちが誤解していることぐらいは自然に解決されそうだし。
そのときイングリットの声が続いた。

『その中で何一つもいっちゃ駄目よ』
「そんな馬鹿な。。。」


207p

キーン教授が続けた。

「でもまだ若い生徒であったのでちょっとしたミスを起こしてしまったし、それが事故に繋がったのです。ですがネニャプルは、ミスをしたからって生徒に全ての責任を問う学校ではありませんので、内部の論議の結果、生徒には無期限停学という懲戒だけを下して他の責任は問わないことにしたのです」

ところでこの発言では魔法使いたちの反応が分かれた。

「さすがネニャプル。学生にそれ以上に責任を問うことはないだろう」
「ちょっと待って、無期限停学という十分過酷な処分をしたくせに、あんなことが言えるのか?」
「さあ、卒業に関わらないなら、むしろ寛大なことでしょう。生徒たちは学校に長く居るのが嫌いです」
「でも停学ということに実質敵意味はあるのですか?休みだと言わなかった?」


254p

レオメンティス教授が立ち上がり,真っ二つになったテーブルに両手を上げた。そうするとテーブルががくがく震えながら光り始めた。びくっと驚いた魔法使いたちはみなテーブルから離れた。

「何の。。。」

続いて大きな振動が押し寄せた。敏感な数人は頭を抱えたり耳を塞いだりした。今実際に感じれる振動だけでなく、魔法の流れをよく感じる者たちが魔法使いになるからだ。巨大に、早くに押し寄せてくる。
まもなく驚くべき変化が起きた。さっき起きたことが時間を逆らったように正確に正反対に起きた。テーブルは生きているようにまた付いて、濡れたことは乾いて、ひび割れた痕跡すらするりと消された。黒く焦げた痕も水が乾くように消えていった。皆が言葉を失った中、微かに軋む音だけがホールに満たした。
やがて周りに落ちた火花や棘なども同じく綺麗に消し去れると、全ては注文が使われた前に戻っていた。その過程でマキシミンに付いていたキャラメルもするりと溶けて無くなった。
静寂の中でささやく声が広がり始めた。

「わあ。。。これ全体逆注文だね?]
「さっき私たちが使った魔法をすべて取り消したのですね?」
「10個も越えたでしょう?それを全て?じゃテーブルは?」
「ルシル・アルレッティが封印したという保護と再生の力をを蘇らせたんでしょう」
「逆注文を掛けるには対象になる注文の記伝を完璧に分かる必要がありますね?この多くの人たちが同時に撃った十数の注文を一目に見抜いたと?」
「それにこれほどの逆注文にアルレッティの注文まで同時に再生したから始展の後爆風が半端無いでしょうけどそれもまとめて相殺したと言うのですか?」

誰かがふと答えた。

「ネニャプル最高の魔法使いのレベルがもう分かりました?」

さっきまでそれなりに自身げにあった魔法使いたちは一気に意気消沈した。目の前でこれほどの魔法を見たのは彼らにも久しぶりだった。レオメンティス教授がネニャプルの魔法を代表する存在であることを知っていても、実力を見ることがさほどなかったから、少し勘違いをしていたようだった。


259p

「いったい何の説明をしたと。。。」
「しました。はっきり言いました」

キーン教授はそこまでにするつもりだったが、ピスカー副司令官が呆れたようにハ、と笑ったのでロレディーン教授が言葉を受けて続けた。

「このまま出ると皆殺しにされますって」
「何。。。ですと?」

顔が赤くなったのは副司令官だけではなかった。そこに集まった多くの魔法使いたちが慌てる目でロレディーン教授を見た。

「殺される?」
「魔法使いたちがプシキに?」
「それが本当にネニャプルの。。。公式の立場なのですか?」

結局ロレディーン教授が立ち上がったけど、その表情はいらいらしていた。

「公式も何も、本当にこれが初耳ですか?これまで外に出て何かしようという主張が出る度、ネニャプルでは何度も言いました。危険だと。まだ準備出来ていないと。キップの外側に出たら駄目だと今まで私たちが言った理由が、外にお宝でもあってネニャプルで一人占めでもするつもりだからとでも考えました?」

パウリア議長が手を振って見せた。

「もちろん違います。でも危ないと言われてど。。。必滅の地は元から危ない場所だし。。。」
「危ないけど自分みたいな優れた魔法使いは例外だろう、そう思ったのですか?違います!それじゃないとも何度も言いました!変種、つまり『メタモルポシキ・プシキ』は、私たちが良く接した、有用な燃料など残して消えるプシキとは全く違う、今の私たちの魔法では一時的な制圧だけが出来て完全に消滅させないと、去年のシンポジウムでも話しましたしキップでも言いました」
「しかし。。。」
「そうです、しかし!皆さんが其をまじめに受け入れなかったことも分かっていました。いまシンぼリオンが行ったことを見ると、以前からの推測が確実になったようですが、みな一度くらい実験室で秘密にメタモルポシを起こしてみたのでしょう?私たちが気付かないとでも?そう生まれたその変種たちを容易く消し殺したつもりでしたね?」

相当の魔法使いたちがびくって周りの顔色をうかがった。ロレルディン教授は冷淡な目で彼らを睨んだ。

「それらは無くなったわけではありません。皆さんが想像も出来ないところで蘇りました。私たちにはその回数を数える事だって出来たのです。気になりますか?正確に26回でしたね」

 

 

 

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1.キップ:最初ははっきりあらわれませんが、読んでいるうちに、

必滅の地で、各国の軍と魔法使いたちが駐屯している場所と推測できます。

2.マキシミンにテレパシーを送ったもの:

ネニャプルの助教で、名前はイングリット・カトルだそうですが、

性別がわかりません。

名前から何となく女じゃないか感じるので、まずは女性の口調に翻訳しました。