幼い頃、叔母に習わせてもらったバレエ。
初めて演じた、くるみ割り人形。
主人公クララが手にしたくるみからは、お菓子の国の王子様が現れる。


私にとってのくるみは、当たり前であるが
甘くない。

人間を遮断した、どす黒い空間。

子たちはまだ親の立場に寄り添える年齢ではなかった。
1人で孤独の闇へと入り込んでしまった。


もう、動けない!
何もしたくない!
泡になって、消えてしまいたい、、

「心」が残ることも許せないくらい、病んでいた。

これらの症状を重度のうつ病だと知ったのは、
十年以上後のことである。


一生割れる事はない、、殻の中で絶望の日々を送る。


たった一人でも。誰かに寄り掛かれていたら。
たった一人でも。心から信じれる人が居たら。
きっと違ったと思う。

胡桃の殻を纏い、心を喪ったまま、14年の歳月を過ごしてしまった。




 随心院 襖絵 (花の間2024)