あれはたしか
小学校4年生の頃だったと思う
たぶん
今とは違って
ウスネズ色とでもいうような
わら半紙が
私の日々の学校生活を支えていたころ
まだ若い女の担任の先生が
あれは何だったかな・・・・
何かの
会報か
文集か
いや、もっと簡素な
紙切れの端だったか・・今となっては思い出せないけど
とにかく
素朴な紙切れに
私の思いをもぎ取るような
悲しげな女の人の横顔と
とげとげの貝のイラストを描いて
画像お借りしました。
わたしのみみは
かいのみみ
とおい あのひを
なつかしむ
・・・というような
詩を添えて
みなに配ったのです。
何十年もを経ても 今なお
その素朴な
イラストが
詩の響きが
事あるごとに
思い出されてしかたないのです。
ある時ふと
パステルでその情景を
私なりの解釈で書いてみたいと
思い立って
タイトル「水音深く」
この作品を書きました。
今日
本の王国での作品展に
出展中の
その想い入れ深い作品が
お嫁に行ったとの
連絡がいただけました。
あの日先生はなぜ
あの詩をまだ幼い私たちに伝えたのかしら
あの幼い私はなぜ
それをいつまでも胸に宿していたのかしら
そして今日
あの絵は
誰のこころによりそって
旅立って行ったのかしら
そこで どんな眼差しと
出会いを結ぶのかしら。
そう思うと
きゅぅと
胸が音を立てる 今宵です。
水音深く
自分の深くに響くもの。
それは
悲しみであったり
喜びであったり
もっともっと
ちがう
それぞれにとっての
大切な何か。
そんな思いがこもった私の絵。
どうか見知らぬ誰かの日々に
優しい響きを寄せますように。
波音響く そのように