先日、一人の女性が
赤い宝石の付いた指輪を、お持ちになりました。
いらないから、処分して欲しいとおっしゃって
いました。
僕が見た所、クラシカルなデザインで細かいスカシを
生かしたデザイン。ものすごく細かい作りで一つ一つ
組あげて作っているのが解る。
金属同士を溶接することを、ロウ付けと
言うのですが、その箇所が凄く多い。
最近は、型から量産する物が多い中、こういうものを
手の混んだ物を見ると、職人の気合いを感じ嬉しく
思います。
そして、メインに付いている宝石は、ルビーです。
色味から見て、まずミャンマー産であると仮定、
宝石の内部を確認すると、それが確信に変わりました。
そして、お客様にこうお伝えしました。
もちろん処分するのはいつでも大丈夫です。
ただ、ルビーに関して少しお話させて下さい。といい
ジュエラーとしての見解を、お話させて頂きました。
すると、お客様は突然泣き出してしまいました。
僕、変なことを言ったのか??と焦ってしまったのですが、
理由を聞いてみると...
僕の話を聞いていたら、購入したときのことを思い出したそうです。
仕事について、ずっと忙しくゆとりが出来た頃、たまたま
入った宝石店で自分にご褒美と奮発したのだと。
そのお店はもう無くなってしまったそうです。
話をきいていたら、さっきまでいらないと思っていた
指輪を無性に付けたいと思ったら、自然と涙が出てきたそうです。
そうなんです。
ここでの一番のまずいのは、
そのジュエリーをお客様に販売した人が、存在しなくなっていること
なんです。購入後、メンテナンスを怠ったり、使用頻度が少なくなると
価値の認識も薄れてしまう。
人は、情報を元に生きています。新しい情報は、新鮮そのものですが、
時間が経つと、その情報自体に価値が無いように感じてしまう。
特にジュエリーには、時間という新しい、古いという概念が存在しない。
経年変化しないと言うことは、価値変わらない物なんです。
(デザインやブランド品は、ここでは違う話です)
OOさん、こないだお求め頂いたルビーの指輪は?いかがですか?
この一言、機会があったらいらない物にはならなかったのでは無いのだろうか?
そう思ったとき、自分のしている仕事の尊さを知ったような
気がしました。
ジュエリーだけを販売していれば良いというのは、あり得ない。
人との繋がりや、社会との繋がりを無くして仕事は成立しない。
その指輪は、少しサイズもキツそうでしたので、サイズ直しと新品
仕上げをして、お渡ししました。今では、その指輪をするのが楽しみ
だと仰ってくれました。嬉しいお言葉です。
後日、自分の持っているジュエリーのコレクションを、見せてくれました。
その時、お客さんの顔を見ていたら
あ、僕ってジュエリーなんか販売していないな。
と感じました。
作業として、してるんですけど、そこには人と人の繋がりに
ご縁を頂いている。僕が出来ることは、けっして多く無い。
けどこの頂いた繋がりは、大事にしたいと心から思う。

自然とサロンブースを作ってから、そういう事を
良く感じる様になりました。