「大ロンドン」
作詩 おおともゆう
あの十字路で朝を売った。
心の平和を蝕み
ペストのように侵食してゆく
紳士服にコウモリ傘
背中を丸めジンを飲む。
寒風吹きすさぶ闇市場
まがい物に囲まれ
娼婦の蔓延る街
大ロンドン。
堕天使がニンフを犯し
煉瓦の壁が地に染まる。
再び日の目を見ることもなく、
天に向かって不遇を叫ぶ。
煙突掃除の子どもらは
筒に挟まれ、煙に蒸された。
美しく儚き姿に
悪臭、腐臭が立ち込める。
絶望が我が物顔で行き着く街、誇り高き大ロンドン。
あの十字路で夜を売った。
あの十字路は私を買った。
2011~2012著
おおともゆう詩集Poetime Vol.1
「大ロンドン」