息が吐けない・・・広背筋⑥骨盤前傾(偽ヒップアップ、反り腰)の癖があるとまずい理由
「広背筋」が上手く使えていない人です。
呼吸器系とつながるので「呼吸が浅い」と感じている人は骨盤を後傾できない人が多いのも納得です。
「呼吸(こきゅう)」
生物が生命維持に必要なエネルギーを得るために、酸素を取り入れて養分を分解し、その際に生じた二酸化炭素を排出する現象。
体外とガス交換を行うのが「外呼吸」で
外呼吸により運ばれた酸素による細胞内でのガス交換は「内呼吸(細胞呼吸)」です。
なんだか難しいので、図にしてみました。
どちらもちゃんとできて、我々は生きていけるというわけです。酸素は生きるためのエネルギーの素です。
コロナ禍の現在、この「肺の機能」というものがとても気になるところなのではないでしょうか。
「わたし、呼吸が浅いんです・・・」
よく聞く言葉です。
これは言い換えると
「わたし、吸うための筋肉と吐くための筋肉が弱いんです・・・」
ということになるのですが、
安静時に(ふつうに静かにしている時に)いったい自分のからだにどれぐらいの空気が出入りしているのでしょう。
答えは
1回の吸気量は450ml~500mlだそうです。
ところがそのうちの150mlが気道にとどまってしまいます。ここにある空気はガス交換には使われず、吐く(呼気)時にいっしょに体外に出されます。よって「死腔(しくう)」と呼ばれます。
簡単な図にしてみました。
250-150=100
100mlしか肺には入らないということになります。生きていくためのエネルギー量も減っているということ。
まずいんじゃないですか?
それに加えて
酸素を体中に行き渡らせるためには「鉄分」が必要なのですが、
鉄分を含む食材(レバー・いわし・マグロ・牡蠣・あさり・小松菜など)を摂取していないとなると体の調子が悪いのも予想できます。
(「ミロ」なども人気があります。品切れになっていましたが最近少し補充されだしました。)
「浅い呼吸を改善すればいいのね!」
そこでドクターたちはこぞって「腹式呼吸」をすすめます。
本来の正しい横隔膜を意識した腹式呼吸であるなら良いと思います。が、呼吸が浅いと感じている方々のほとんどが間違った呼吸法をしています。
腹筋力のない人ほど、吸う時も吐く時もお腹だけがぽこぽこ動いています。
胸が動いていないのです。
猫背にもなっていて、首も倒れている。前回の記事「骨盤前傾(偽ヒップアップ、反り腰)の癖があるとまずい理由⑤首のしわ=背骨が伸ばせない」につながります。
正しい呼吸での胸の動きを図にしてみました。
息を吸うという事は胸(胸郭)が前後に拡がるという事なのです。
それなのに拡げようともしていないし、拡がらない。
腹式呼吸とはこの横隔膜をしっかり動かし柔軟性を持たせることで胸郭の拡がりを期待できるのでとても良いことです。
それが上手くいかない女性が多いのは、本来女性は胸式呼吸が主だということもあるでしょう。
胸式呼吸が悪者扱いされがちですが、胸が拡がらない肩での呼吸が勘違いされているのかもしれません。
「本来からだはどのように動かして息をしているのか」
まずは胸が拡がるということなのです。
肺には筋肉がないので、自ら膨らんだり縮んだりすることはできません。(弾性収縮力と言って自然に元の大きさに戻る収縮というものはあります)
だから筋肉の力が必要というわけです。
要注意です。
※ただ、胸を拡げようとして、お腹を出しているだけ(腰椎を前弯させているだけ)の人もたくさんいます。それは間違いです。
胸を拡げる筋肉については後日説明しますが、
実は「吐き切る力」があると、同時に「吸う力」も強くなるのです。
吐く力と骨盤後傾
「過呼吸(過換気症候群)」という症状の時にも「吐く」ということを覚えておくと対処できます。
突然の過呼吸は、
心理的なストレスがあったり、不安や緊張、興奮、恐怖心や肉体的な疲労から呼吸数が増加し、そうすると血液中の酸素濃度が上がり、逆に二酸化炭素の量が少なくなって血液がアルカリ状態になることから呼吸困難になります。
この時にも
・1,2と心の中で数えながら息を吸い、お腹をふくらませる
・3,4,5,6と心の中で数えながら口をすぼめるようにしてゆっくり息を吐き、お腹を凹ませる
うつぶせに寝たり、
座って体育すわりのように前かがみになったりすると呼吸がしやすくなります。
気が付きましたか?
うつぶせに寝ると骨盤は前傾しません。
前かがみに座るという事はお腹を凹みやすくさせ、骨盤は後傾するということです。
このように「吐く力」と骨盤後傾はリンクしているのです。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、慢性気管支炎や肺気腫と呼んでいた病気を一つにまとめたものですが、この病気の方たちは一気に吐く息のスピードが健康なひとよりも遅いので、ろうそくの火を吹き消すのが難しいです。
試しに「ふっ」と息を吐いてみてください。二通りで。
お腹を凹まさないで
お腹を凹まして
元々腹筋力がある人であれば(今現在弱くても)、確実に後者の方が息が強く吐けるはずです。
問題はお腹を凹ませられない人です。
いつのまにかやり方さえ分からなくなってしまっているのです。
そのために必要なのが骨盤後傾です。
それがどうして「広背筋」につながるのか。
骨盤前傾タイプが体幹を支える筋肉、特に腹筋力が弱まることを書きました⇒「骨盤前傾(偽ヒップアップ、反り腰)の癖があるとまずい理由①腹筋」
さらに腰痛や疲労骨折、圧迫骨折への心配⇒「骨盤前傾(偽ヒップアップ、反り腰)の癖があるとまずい理由②腰痛③疲労骨折④圧迫骨折」
そして首のしわにも通じる脊柱起立筋を起こすという事⇒「骨盤前傾(偽ヒップアップ、反り腰)の癖があるとまずい理由⑤首のしわ=背骨が伸ばせない」
お腹を凹ませる力には骨盤後傾が必要だという事はもうおわかりでしょう。
広背筋とはこの筋肉です。
広背筋
咳の風邪を引いた後にお腹の筋肉が痛くなっていることがありませんか?
咳をする姿勢を考えてみると、
お腹を凹ませ、背中を丸め、お尻を下げて(骨盤後傾)、コンコンコン。
この動作は、お腹の筋肉とともに背中にあるこの大きな「広背筋」をとてもよく使うのです。
だから広背筋は別名「咳(せき)の筋」とも呼ばれます。
息を吐く力に通じる筋肉なのです。
安静時の呼気(吐く息)では感じませんが、お腹を凹ませて、絞り出すように息を吐くという動作をしてもらうと背中を丸く伸びるようにして力が入るのが分かると思います。
逆に
図に書いてあるように、この筋肉は腕にねじれて付いているので、
猫背だったり、首が前に倒れていたり、肩がずっと内旋している姿勢のままでいると
広背筋の収縮の力が働かなくなります。
そうなると胸が開かない、胸が前に出ないということになり「吸気」にも影響が出ますね。
腕が頭上に上がらないというのも肩関節周辺の問題だけではありません。
広背筋は腕に付いているので、その収縮させる力で腕を上げるということもしています。
邪魔をしているのは腰椎の前弯、骨盤の前傾である可能性も高いのです。
ということは
お腹を凹ます感覚、骨盤後傾の感覚を身に着けることがお腹痩せだけではなく、各所のトラブルに対応できることになります。
後ろで肘を伸ばしたまま手が組めますか?これも指標となります。
ヨガでのねじりに関わるポーズでも広背筋が上手く使えているかはポイントとなるので、腰椎を前弯させたまま腹筋を使わずにポーズ(アーサナ)をしないように気をつけてくださいね。
呼吸が浅い、息が吐けない・・・という人は「からだをねじる」ことも苦手です。広背筋のことを忘れずに。
広背筋が弱ってきたら次はどこの筋肉が弱るのか・・・は次回に説明します。
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名前:高田祐希
女性専用治療院:二子玉川「きこうカイロ施術院」院長。治療トレーナー。
・カイロプラクター
・医学気功師
・スポーツトレーナー
・テーピング治療
・耐震マットでハイヒールの考案者
・オーラチャクラセルフリーディング及び宿命鑑定
「体形・体型改善」をすることが「痛み」をなくすことにもつながることを自己の経験をもとに伝授している。ストレッチ、筋トレ、HIPHOP、ダンス、ヨガ、気功などをトレーニングの中で用い、各人に最適で効果のある楽しい運動を提供している。
▼著書「どこに行っても治らなかったひざ痛を10日で治す私の方法」▼実はこの本の内容は脚を細くまっすぐすることにも通じるものです。
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