ホツマツタヱ | yunnkji1789のブログ

yunnkji1789のブログ

ブログの説明を入力します。

日本語の発音は次第に簡略化されていく。

そして文字もそれにつられて減っていく。

数十年後には「を」はなくなって、助詞の「へ」も「え」になっている可能性もあると思っている。

前の音の母音を繰り返している後ろの音が省略されることで、一音節の単語が生まれてきた。「木」は「き」ではなく「きい」だった。

そして古代と現在の一番の違いは母音の数だ。今の日本語の母音は5つだが、古代は8つ。音の数は63あったと言われている。

古代では明確にわかれていたのだが、次第に区別がつかなくなっていって、わける必然性質がなくなり、50音になった。

この現象を最初に発見したのが本居宣長で、その後の研究で正しいことが実証され理論化された。これが上代特殊仮名遣いと言われる表記法に現れるが、これは現在でも大変重要な概念で、語源論の研究には大変役に立つ。

例えば「神(カミ)」の語源。「上」だと思っている人もいるかもしれないが、「神」と「上」の「ミ」は当時は違う音だったことがわかり、否定されているている。

そして、この発見は、江戸時代に突然「発見」された、多くの神代文字、ヲシテ文字の文献が偽書だと証明することになる。多くの神代文字が、不思議なことに、5つの母音しかないのだ。

その一つが「ホツマツタヱ」という文献だ。独自の文字で書かれた古事記、日本書紀の原作という触れ込みで、安政年間に突如デビューする。

しかし、題名からして、ギャグになっている。「ホツマツタヱ」は、漢字仮名交じりに直すと「秀真伝え」となる。しかし、動詞「伝える」は、本来は「伝ふ」で「伝え」「伝ゑ」にはならない。「へ」「ゑ」「え」の区別が曖昧になった江戸時代の書き癖である。

一応写本によっては「ホツマツタエ」も「ホツマツタへ」もあるのだが、原本に近いものが「ホツマツタヱ」であることは明らかにおかしい。

で、これに使われている文字も例に漏れず5段50文字の、現代及び江戸時代の音韻数になってしまっている。というか、文字の作り方が5段でないと成立し得ないのだ。

こういったものは、あくまで江戸時代の国学者たちがどんな風に想像力を働かせたか、ということを考察するための資料としてしか価値はない。ウィキペディアを読むと、「一部には肯定者がいる」と書かれるが、その「一部」は、基本的は神道原理主義者、国粋主義達である。当然八母音も否定しないといけないのだが。八母音否定からホツマツタヱ肯定になるならまだわかるが、ホツマツタヱを肯定するためにわざわざ八母音を否定するんだから。明らかに結論ありきになっている。

上代特殊仮名遣いは江戸時代からの長い期間、膨大な時間と労力をかけて研究され尽くした。正直、否定するのは困難である。 

神代文字があったなかったという話はロマンがあるし、人目を引く。私も中学の時、超古代文明に思いを馳せていたことは書いた。しかし、大事なのはこういう地道な基礎研究を理解し積み重ねていくことで、ネットの検索ではこういう基礎からの積み重ねはできない。