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思いの坩堝

モノカキになると誓った元単身赴任会社員の文章修行場です!

私小説の難しさを思う。

きっと破天荒な人生を送っている人なら誰だって、面白い私小説を描ける素材をもっている。それがほんとうに面白い私小説として成り立つか否かを決するのは、どこまでそれをさらけ出せるのかにかかっていると思う。ノンフィクションではないので全てが真実である必要はないが、さりとて周りに気を遣い、自身のちんけなプライドを頑なに守ろうとすれば、凡百のつまらない文章に成り下がってしまうのは当然の帰結だ。それでは人の心の琴線に触れることなど到底望むべくもない。

とはいえそれは簡単ではない。

人は最初と最後こそ一人であるとはいえ、一人きりで生きているのではないから、内心の吐露により周囲に迷惑をかけることは避けねばならないし、ちんけであるからこそなおさら必死にそれを守りたいのであり、なにもかもさらけ出した結果として、悪感情を持つに至った読者からの、自身の人間性や思想に対する批判・否定の全てを受け入れ或いは対峙せねばならないことを思えば、なかなかおいそれと踏み出せるものではない。

その一線を越えられるか否かは、作者の抱える逃げ場のなさ、書かずにいられない切迫感によるのではないかと思う。

翻って自身について思い返してみれば、これまでの人生の中で書きたい場面は幾つかある。既に何度も繰り返し頭の中で再現してきている。そろそろ書いてもいい頃だと考えている。