苦役列車を読んでいる。
おやと思うほどいやに新しそうな、かと思えばやはり古めかしい言葉遣いや言い回し、表現が入り交じっているが、読みやすくて面白く引き込まれる。怠惰で無軌道な主人公に本質でちかしいものを感じるからだろうか。
作者は、中卒というのがトレードマークのようになっているが、私小説に代表される文学というのは本質的に子供のような、良くいえば純粋さ、悪く言えば聞き分けのなさ、ものわかりの悪さがなければ産み出せるものではない。
それは集団の中で自ら枠にはまり画一的な価値観や偏見や固定観念にまみれることで生き易くなることを望む多くの者達がいつの間にか捨て去ったものなのだろう。
先日の田中慎弥氏や毛色は違うが花村萬月氏も高卒だという。
蛇にピアスの金原ひとみ氏だって父親の庇護がなかったらあそこまで研ぎ澄まされることはなかっただろう。
その、ろくでなしを含むどんなものをも受け入れる懐の深さ大きさを持った文学が、自分はとても好きだ。