娘が髪を切る。
それがなんだと思われるだろうが、娘を取り巻く我ら家族や、娘の友人知人らにとっては、割りと大きな事件だ。
娘は間もなく6歳になろうかというところ。未修学児。来年の春に通常であれば小学校にあがる。幼稚園の年長さん。
生まれてこの方はさみをいれたことのない髪は、今や腰下、尻辺りまで伸び、先は金髪に近いほど色が抜けている。
この長い髪を、いくばくかのアイデンティティーとして娘がまとっていたことは間違いない。
大きな決断だったろう。
我ら保護者からすれば維持管理のための労力と時間が減るのは喜ばしいことではあるし、いつまでも際限なく伸ばし続けられるものではないことを思うと良いタイミングなのだろうとも思う。
とはいえ、既存のものを変えるということは思いの外エネルギーを使うものだ。
というのはしかし私の個人的な思いに過ぎないのかもしれない。
本人はあっさりとしたものだ。
頭が軽くなった、などと無邪気に笑っている。
いやいや言葉通りだといささか困った事態なのだが。