感動する | 思いの坩堝

思いの坩堝

モノカキになると誓った元単身赴任会社員の文章修行場です!

ペタしてね

先日の記事で書いた、書き写しノートから、1作品転載しようと思います。

今でも鮮明に記憶に残っている作品です。
ノートを見つけた際に、真っ先に読み直しました。

詩です。

「文学」を軽いタッチでわかりやすく解説しようとしている書籍に引用されていた作品です。

初めて目にしたとき、感動で鳥肌が立ちました。

なんてうつくしい言葉の並びだろう。

どうしたらこんなに素敵な詩を生み出せるんだろう。

激しく嫉妬した覚えがあります。

では早速転載します。

さあ、あなたはどんな感想をお持ちになるでしょうか。


「文学がこんなにわかっていいかしら/高橋源一郎」より抜粋

 雪      (伊藤比呂美)


てんてんとつづく足あとを目で追っていきますと

うさぎが殺されたのがわかりました

まっすぐつづくのはきつね、と教えてもらいました

そろってぱたりそろってぱたりとつづくのはうさぎ

「そろってぱたり」と「まっすぐつづく」がまじわって

「まっすぐつづく」になっていました

血はみあたりませんでした

「そろってぱたり」は暴れもしません

わたしは裸足です

靴をぬぎ靴下をぬぎました

なにもかもがむきだしになりました

あなたはそれを見ます

靴と靴下をぬいだら

わたしの足ゆびには毛が生えていました

足ゆびのまたから血がでていました

あなたはそれを見ています

わたしは字をかいています

あなたはそれも見ています

わたしはそれを見せたいと思っています

あなたも字をかいています

わたしはそれを見ています

なんてうつくしい字をかくおとこだろう

とわたしはおもっています

なんてうつくしい

おとこだろう おとこたちだろう おんなたちだろう

あなたは字をかきおえてそれをしまいこみます

わたしには見せないつもりらしい

あなたは靴をはいて

雪の原を横切りに出かけます

わたしはここに残ります

雪の原を「そろってぱたり」なら

「まっすぐつづく」に取られる運命

それはきっと あたりが明るくなる

朝のこと


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