【東方神起のダンスをみんなと共有したい。ダンサー・50が目指す“ダンサーの未来”】
http://news.livedoor.com/article/detail/15321313/
バックダンサー、振付師、インストラクター、プレーヤーなど、ステージ上だけでは知ることができない彼らのさまざまな表情に迫る「ダンサーが生きる道~東方神起ダンサーズ~」第5回は、50(フィフティー)。彼は、18歳から東方神起ダンサーズとしてキャリアを積み上げてきた。家族、仕事、仲間たち、自らを取り巻く環境に真摯(しんし)であり続ける彼には、30歳にしてすでにベテランの貫禄がある。信頼で成り立つバックアップダンサーの仕事の全貌が分かる、必読のインタビューだ
■「当たり前のようにステージに立つな」初めての現場で学んだこと
――東方神起のダンサーになったのはいつからですか?
2007年です。
――きっかけは?
高校3年生のときにオーディションを受けました。合格して、大学1年生の入学式翌日からリハーサルが始まったんです。
――他のメンバーの皆さんもそうでしたが、オーディションなんですね。しかも若い! じゃあ、それまでアーティストとのお仕事は?
やったことがなくて、東方神起が初めてでした。高校生のときに、ダンスボーカルユニットを組んで少し芸能活動をしていたことはあります(笑)。
――そうだったんですね! どういった経緯で受けることになったんですか?
当時よくレッスンを受けていたCHEW(チュー)さんは、BoAさんなど韓国のアーティストと仕事をされていて、その関係で東方神起のオーディションに誘っていただきました。
――東方神起との仕事で学んだことはありますか?
一緒に仕事をし始めた当時のダンサーは、皆さん8、9歳上の先輩でした。BoAさんや安室奈美恵さん、Crystal Kayさんなどのアーティストと仕事をされてきた経験豊富な方たちだったので、学ぶことがたくさんありましたね。他にも、ダンスのことだけじゃなく、周りのスタッフさんたちとの関わり方なども学びました。
――例えば?
演者がステージに立つ前日、もしくは前々日などに会場の設営をして、当日は僕たちがステージに安全に立てるように常に動いている。ライブが終わったら徹夜で撤去して、次の会場へ運んで準備してくれる。長いツアーだと1カ月も家に帰れないこともあります。そういう、ただライブを見るだけでは気付けなかった、裏側でたくさんのスタッフさんたちが動いていることを知りました。 東方神起のホールツアーから始まり、アリーナ、ドーム、そしてスタジアムと、普通では経験できないたくさんの場所に連れて行っていただきました。その分、たくさんのファンの皆さんやスタッフさんたちと関わることができて、学ぶことや感じることが多いです。 あとは、ステージ上でいろいろなことが起こるので、ダンスだけじゃなく、把握する能力や対応力が必要になってくることも学びました。
――ステージに立つ側にならないと分からないことってありますよね。しかも当時でいえば、50さんは10代で、現場では一番若かったんじゃないですか?
そうですね。だから余計にいろいろなことを教えてくれたのかもしれません。「当たり前のようにステージに立つなよ」って。東方神起のふたりも常に周りのスタッフさんたちへ気を配っていて、そういうことを考えさせてくれる、言ってくれる現場で良かったな、と思います。
――他のアーティストの現場と比べて違う部分はありますか?
アーティストによって現場の雰囲気はさまざまですが、特に東方神起のダンサーは先輩後輩の関係がきっちりしているかもしれません。男だらけなので、体育会系というか、時に厳しい。でも、ツアー中は毎回、皆でご飯へ行くこともあり、どの現場も仲が良いことは共通していますね。
――確かに、東方神起ダンサーズは年齢差がかなりありますよね。
一番上がSONNY(サニー)さんで39歳、一番下がGEN-Z(4N.O.V.A/Turn up)で19歳なので20歳差ありますね。だから自然と先輩後輩の関係ができるんです。GEN-Zは、元々ACHIさんの生徒でもあり、先生と生徒が同じツアーを回れるのはふたりにとってうれしいことだと思います。
――東方神起とお仕事をされて11年になりますが、ダンサーのメンバーが少しずつ変わっていますよね。同じアーティストであっても、メンバーが変わるとその時々で雰囲気は変わりますか?
変わりますね。その時々で色がありますし、役割分担もあります。いろいろな現場で活躍するメンバーがいることもあるので、それぞれ個性が強い(笑)。ただ、メンバーが変わることがあっても、東方神起が大事にしていることはみんなで共有するようにしています。
――昨年から若手ダンサーのGEN-Zさん、KENZO MASUDAさん(GANMI)が加わってフレッシュさがかなり増しましたね。
かなりフレッシュさが出てきましたね。だからこそ、僕たちも負けないようにしないといけないな、と思います。
――良い刺激になっているんですね。
そうですね。ふたりに限らず、若い子たちは振り覚えが早いですし、ダンスが上手です。とはいえ、メジャーシーンの現場の経験が浅いので対応力や表現力はこれからかな、と思うところもあります。楽曲によってキャラクターを変えられるかとか、そういう表現力も大事なんです。ダンスがどんなにうまくても得意不得意があると思いますが、その中で曲によってどう表現するべきか、どうトライしていくかをもっと考えて、積極的に踊れると良いと思います。
――ただ与えられた振り付けを踊るだけではない、ということですね。
自分自身の課題にしていることでもありますが、若い子たちは飲み込みも早いですし、そういう意識で踊ると、さらにすごいことになると思います。
――実際にそういうアドバイスはされるんですか?
しますね。例えば、楽曲「Why? (Keep Your Head Down)」でいうと、すごく制作期間が長かったし、振付師3人が振り付けを何回も変えることもあったり、東方神起のふたりも制作に関わったり、それぞれの思いが詰まった振り付け、楽曲だと聞きました。怒り、悲しみ…いろいろな感情が混ざっている曲だったので、そういう感情も表現できるようになったらいいよね、という話はしました。それぞれの曲にコンセプトがあるので、アーティストとダンサーとがしっかりとそれを共有できるように心掛けています。
■東方神起とダンサーズ…信頼があるから生まれる相乗効果
――先日、SONNYさんと高校生にレッスンをされていましたよね。しかもサプライズで東方神起のおふたりも一緒に! 反響はありましたか?
SNSで、「来てほしい!」という学生からのコメントがありました。テレビでもレッスンについて取り上げていただいたので「一緒に踊ってみたい!」という声をたくさんいただきました。
――募集をかけたら応募が殺到しそうですね。今後もやる予定はありますか?
昔から、東方神起ダンサーズとしてライブ以外の場所でも活動していきたいねって話していたので、それがようやく形になってきたところです。ツアーなどで全国へ行ってステージに立つことだけでなく、ダンスを通してファンの皆さんや学生と交流することができたらいいな、と思っています。 これは、今後も全国でやっていきたくて、みんなでどういう方向性でやっていこうか話し合っているところです。ダンス人口も増えてきたし、幅広い層の方々と東方神起のダンスを共有していきたいですね。
――東方神起のダンスってレベルが高いですよね。それを直接指導してもらえるのはとてもうれしいことだと思います。楽曲の振り付けはされているんですか?
曲丸ごとではないですが、「Spinning」のイントロでのダンスパート、6月に日産スタジアムで開催されたライブ「東方神起 LIVE TOUR ~Begin Again~ Special Edition in NISSAN STADIUM」でパフォーマンスした「DIRT」で振り付けをしました。約1分半のイントロ部分だったんですけど、50mの花道を踊りながら進んでいくというものでした。
――そういう振り付けってなかなか難しいですよね。
東方神起のライブではやったことがない演出だったんです。50mの花道というものがそもそもそんなにないですし、深夜に公園で振り付けを作りました(笑)。途中、ユノとチャンミンのソロを入れて、ふたりをさらに引き立たせる部分もあったので、そこはふたりと一緒に話しながら決めていきました。
――おふたりも積極的に振り作りに参加されているんですね!
それぞれのソロパートでもあったので、「こうした方がいいんじゃない?」ってふたりともアドバイスをしてくれましたね。
――付き合いが長いですが、50さんから見ておふたりはどんな人ですか?
ダンサーも含めて男だらけなので、男子校みたいなノリですね(笑)。みんなでツアーの最終日に温泉へ行くこともあります。ユノもチャンミンも年齢が近いので、友達のように接してくれますし、やっぱりそういうときは、普通の男の子なんだなって(笑)。 仕事に対しては、ふたりともとても真面目で一生懸命です。限られた時間の中で、妥協を許さず、人の何倍も努力をしているし、関わっている人たちに敬意や感謝の気持ちを伝えてくれるステキなふたりです。 どれだけすごいステージに立っていても、ダンサーやスタッフのことを常に気に掛けてくれて。どれだけ疲れていても「どこにそんな体力があるんだ?!」って思うくらい、ふたりのパフォーマンス力にはいつも驚かされています。サポートしなきゃいけないのに、ふたりに引っ張られることがたくさんあります。
――11年も同じアーティストと仕事をされるってなかなかないことですよね。
そうですね。東方神起は日本と韓国それぞれで活動をしているので、長期間会わないこともありますけど、久しぶりに会っても久々な感じがしなくなりました(笑)。同級生と会うような感じです(笑)。仕事上でのパートナーではあるんですけど、それくらい仲良くさせていただいています。気を遣わずに、いろいろとアドバイスや意見もしてくれるんです。当たり前だとは思っていないですが、またこうして関わることができて本当にうれしいです。
――それが良いパフォーマンスにつながりますよね。
リハーサルで、ダンサーだけで練習しているときも見てくれていてアドバイスをしてくれるんです。「もっと合わせてほしい」「もっと表情を付けた方がいい」「韓国でのダンス楽曲はこうした方がやりやすい」など、やり方を教えてくれることもあります。たまにオーディションみたいなことをすることもあって、結構ストイックな現場でもありますね。楽曲はもちろん、パフォーマンスに対しても真剣に取り組んでいる姿を近くで見ていて、僕らもそれに応えなくちゃいけないな、と思います。僕らも良いパフォーマンスをして、彼らに良い影響を与えられるよう目指しています。
――そういう相乗効果があって、さらに良いライブに仕上がっていくんですね! 東方神起の楽曲の中で思い入れのある曲はありますか?
僕が結婚した年に発売されたシングル「OCEAN」(2013年6月12日)に収録されている「Wedding Dress」ですね。
――それはなぜですか?
「東方神起 LIVE TOUR 2014 〜TREE〜」で、妻でダンサーのLINAとペアになって噴水の中でこの曲を踊らせていただいたんです。夫婦でツアーに参加させていただくことができただけでなく、この曲で一緒に踊ることができて、すごく特別なステージになりました。
――めちゃくちゃステキですね! では、振り付けが好きな曲はありますか?
「SCREAM」と「Why? (Keep Your Head Down)」ですね。
――誰が振り付けされたんですか?
「SCREAM」はSHIGEさん(S+AKS)、「Why?」は、シム・ジェウォンさんとファン・サンフンさんと仲宗根梨乃さんの合作です。
――日本では合作で振り付けをすることは珍しいですね。
韓国では合作で作ることが多いみたいです。
――9月26日から「東方神起 LIVE TOUR 2018 ~TOMORROW~」が始まりますね。どんなツアーになりそうですか?(インタビュー時は8月30日)
今まで以上に踊る部分も増え、内容も濃いと思います。アルバム「TOMORROW」に合わせたツアーですから今までとは違うステージで新しいことも多いですし、ふたりも気合い十分です。初日が開けるまでは少し不安もありますが、ぜひ楽しみにしていてください! 自分が振り付けした部分もあるので、個人的にはそこも良い世界観を披露できたらな、と思っています