「ちょ、ちょっと工藤くん?! いったいどこ行く言うん?」
半分涙目になった彼女の腕を引いて、その場から逃げるように走り出す。
これ以上彼女に辛い思いをさせたくなくて…仲睦まじく寄り添う服部と蘭に見つからないよう、オレたちは街の喧騒の中へ紛れ込んだ。
どうかしてる、これは夢なのか?
訳が分からない。
服部も、蘭も…いったい、どうしたっていうんだ?!
「和葉ちゃん、大丈夫かい?」
せっかく久々に、東京へ来たっていうのに。
用事があると言って別々に出かけた二人の密会シーンを目の当たりにして落ち込んでいるだろう和葉ちゃんを気づかい、オレがそう声をかけたら。
「…アタシより…工藤くんの方が青い顔しとるよ?」
逆に、そう指摘された。
やっぱ、ごまかせね―か。
実を言うと、さっきから膝の震えがとまらねぇ。
和葉ちゃんを心配することで己の均衡を保とうとしているオレは、かなり情けない男みたいだ。
でも、何だってんだ 蘭のヤツ。
こうなったらオレたちも対抗して、どっかへフケ込むべきなのか?
次第に沸いてきた嫉妬心。
今 オレの頭の中は、蘭のことで一杯になった。
「これからどうする?工藤くん」
不安気にオレを見つめる彼女の姿が、蘭と被った。
どうする…って、このままでいい訳はない。
でも、どうしたらいいのか分からないんだ。
「和葉ちゃんはどうしたいんだい? 嫌だろう、あんな服部を見るのは」
「ア、アタシは平次とは ただの幼馴染みやし…。工藤くんはええの?蘭ちゃんのこと好きなんやろ?」
「オレは……」
コナンになって、蘭の気持ちを知って、元の姿に戻ったら自分の気持ちを言おうと思っていたのに、いざ元に戻ったら勇気が出なくて あやふやな関係を保とうとしたオレ。
焦らなくても蘭の気持ちがオレにあると思って余裕ぶっていた自分は、なんて卑怯なヤツだったんだろう。
きっと蘭のことだから、何か理由があってのことだと思うけど。
今のオレには、そんな風に思えるほど、冷静さを持ち合わせてはいなかった。
ただ、
『蘭を、誰にも渡したくない』
その気持ちが、溢れるばかりだった。
「オレは蘭が好きだ。 …和葉ちゃんもそうだろう? だから、早く戻って二人を取り返そう」
蘭にこの気持ちを伝えるんだ。
そう覚悟を決めたオレは、和葉ちゃんの手を取り二人の元へと引き返そうと振り向いた。
だが、そこには……。
「蘭ちゃん聞いた?!工藤くん、蘭ちゃんのこと好きやって!!」
「やっと言いよったか、…ったく、世話の焼けるやっちゃで」
いつのまに後ろにいたのか、ニヤケ顔の服部と 真っ赤になってうつ向く蘭がそこに立っていたんだ…。
それに、手を取り合っていたはずの和葉ちゃんまで服部と一緒にオレを冷やかしている。
これはもしかしたら……
「ハメたな…オメーら…」
そう言うと服部と和葉ちゃんは、揃ってオレにVサインしたんだ。
これは…コイツらに、まんまとヤラレちまったみてーだ。
いったい何だってんだ?
聞くと、これは服部からオレへの、バースデープレゼントだったらしい。
ってか、蘭がオレへのプレゼントは何にしたらいいかってヤツに相談したら、…"こう”なってしまったみたいだ。
「これのどこがオレへのプレゼントなんだ?」
と、一応ヤツに聞いてみたら。
『彼女が手に入ったやないか』
そう言って、余裕の表情で、服部は笑いやがったんだ。
…ムカつくけど。
ビミョーに納得いかね―けど。
蘭に、あれだけ嬉しそうな顔を見せられたら…
まぁ、しょうがね―よな。
ここは百歩譲って、ヨシとするしかねぇし。
後で服部に、何でコレ(焼きもちを焼かす)だったんだ? オレに告らせる方法は。
…って、聞いてみると。
「そんなん…オレがされたら一番嫌な事やからに、決まっとるやんけ」
なんて、スカシた顔で言いやがった。
クソッ!服部のヤロー…、覚えてやがれよ。
テメェの記念日は、これの倍返しにしてやるから…覚悟しやがれっ!
オレはこの日、一応ヤツに僅かばかりの感謝をした後、この澄みきった大空よりも大きいリベンジを胸に誓った。
END
間に合った~(@_@)
これ…新一BD記念SSのつもりですが、何か?(爆)
家に帰ってないので、初めてブログにSS書いてみたんですが…
めっちゃ書きにくい(>_<)
読み辛かったらスミマセンです;
あぁ…平和にも公式BDが欲しいよ(懇願)
そしたらBDネタ、書きまくってやるのにっ!
この話、普段勘が鋭い新一も蘭ちゃん絡みだとグダグダになるってのが言いたかっただけ。
多分、平次も同類だと思う(笑)