天狗飛脚 | 映画プログレ桜田淳子

映画プログレ桜田淳子

タイトルのテーマを中心に、好きなものを書き綴ります

GHQによるチャンバラ禁止令の下で制作された、チャンバラが登場しないコメディー時代劇。市川歌右衛門演じるスーパー韋駄天男を主役に、対立する2つの飛脚問屋、恋人に降って湧いた結婚話、正体不明の快速強盗事件、オランダ渡来の新薬と子どもの熱病、といった複数の出来事が絡み合いながらスピーディーに展開する。

 

 

そして、それらの出来事全てが、クライマックスのシークエンスに向けて集約されてゆく筋運びが見事。ラスト20分、江戸〜大阪間140里を、歌右衛門が走る、恋人を乗せた籠が走る、ライバルの飛脚が走る、盗人が走る、馬が走る、走る、走る、走る。「血煙高田馬場」と比べても全く遜色ない(「超高速参勤交代」を遥かに凌ぐ)スピード感溢れる演出とカット割り。その高速シークエンスの中で、複数の課題が次々と解決されてゆく。爽快にして痛快無比。全力疾走とは、何と気持ちの良いモノであることか。