セックス・チェック 第二の性 | 映画プログレ桜田淳子

映画プログレ桜田淳子

タイトルのテーマを中心に、好きなものを書き綴ります

監督:増村保造 1968年

 

かつて一流のスプリンターだった宮路(緒形拳)は、類い希な才能を持つひろ子(安田道代)に目をつけ、共にオリンピックを目指す。宮路の厳しい指導のもと、日本記録に迫るひろ子だったが、セックス・チェックの結果、半陰陽と診断されてしまう。それを信じない宮路は、ひろ子を正真正銘の女にしよう(女であることを立証しよう)と彼女を抱くが…。

 

 

コーチがまるで丹下段平なら、ヒロインもかなり矢吹丈。そんなやさぐれ師弟が女子100m走で繰り広げるスポ根ドラマに、“両性具有” “親友の妻を巡る三角関係” という要素が加算され、その結果、努力と根性という基本線に、師弟愛を越えた男女愛、性的アイデンティティの混乱、失恋による精神崩壊、などの複線が重なってくる。かなりトンデモな作品。

 

にも関わらず、そこはやはり増村保造監督、ギリギリのところで破綻を防ぎ、波打ち際でシリアス・ドラマに踏みとどまっている。おまけに、妙な納得感やじんわりとした感動まで加えている。またしても天才監督の術中にはまってしまった名作である。