とても心配な『キャサリン妃の御病気報道』から、の、イギリスで手術を受けた時の話 | ロンドン郊外で日本語教師

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試行錯誤四苦八苦しながらぼちぼち教え始めました。


お二人とも『癌ではない』としているので、まずは安心ではありますが。。。

ケイト妃は、腹部手術の入院期間が『2週間』と言う、英国の医療の常識からすると異例の長さである事と、4月以降まで公務をしないと言う療養期間の、此方も結構な長さである事を鑑みると、ちょっと心配です。。。
それでも、緊急性を要しない予定された手術だったって言うんだけれど、、、

英国医療の常識、と言うのは、、、
何しろ退院させるのが早い、と言うこと。

通常分娩であれば、日本はどの位入院ですかネ?
NHSは、合併症のない出産の場合、通常、出産後6時間以降、退院。まぁ、午後の出産になるとお泊まりになると思いますが、合併症など無ければ、翌朝には退院。器械分娩なら1〜2日、帝王切開でも3日位と聞き及んでおります。
二人目を安産で出産した友人は、午前中に出産して夕方前には歩いて帰宅💦

そんな感じなんで、開腹手術も、まず3日位で退院だと思います。

私が受けた腹部手術然り。。。
私は、子宮体癌のステージ1a予想(術後の病理検査で確定)。
予定では、腹腔鏡手術による、附属器(卵巣卵管)と子宮全摘手術。
告知を受けてから約2週間強で、アレヨアレヨという間に決まった手術だったので、、まぁ緊急性が高かった方なんだと思うけれど、予定では腹腔鏡手術の筈が、何かが何処かに癒着していて出血が始まり、止血が出来なかったので、急遽開腹に変更となった手術だった。

全身麻酔での手術。

術前の麻酔前。
ドラマなどでは、では10数えてくださーい、とか言うでしょ?
それを期待してたら、違った。いきなり事切れた感じでした。
術後の麻酔後。
ドラマなどでは、麻酔が切れて勝手に目覚めるのを病室で待つ感じでしょうが(←イギリスの病院ドラマでも同じ!)
実際には、手術後に患者は手術直後の大部屋のような所に集められ、麻酔から文字通り叩き起こされるのであーる。
叩き起こされると、もう突然にとんでもない痛みが襲い掛かって来る訳ですよ‼︎
痛いの何のって。。。あんな痛み、経験ないな。
呻いてしまう💦
その声が彼方此方からステレオで響いて来る。
もう叩き起こされた術後患者が一斉に喚いて唸っているんですね。
何が起こっているのか理解するのにとても時間が掛かった気がする。
回らない頭で、痛かったらこのボタンを押せ、とコードに繋がれたプッシュボタンのようなものを渡されるので必死にプッシュするんだけれど、15分だったか20分置き位にしか作動しないようになっていて、痛いからと言って無闇に押しても何も起こらない。
兎に角ネ、そのモルヒネすら何ら作用しない程の痛みでしたよ、、、
何で叩き起こされる必要があるんだ⁇と言う感じ。。。
痛みに耐え唸っている所に、癒着による出血で急遽開腹手術に変更になった旨を知らされる、うん、もう切っちゃったんでしょ、それ、今言わなくてもいいから、もうホントどーでもいいから、兎に角この痛みを緩和してちょーだいッ!と言う思いだけでしたね…

腹腔鏡手術の場合。
事前の案内では、術後、一晩は経過観察で、腹腔鏡術後患者の大部屋で過ごす事。
回復を促す為、食事は自分で食堂まで歩いて行って食べろ、と言う指示だった。

朝イチの手術だったので、翌朝には退院、と言う運び、の筈でした。

が、しつこいけれど思いがけずの開腹手術。

看護師が色々してくれるのは、病室に運ばれた直後だけ。
あとは大体、病室にあてがわれた、患者さんのHelpをする人が、例えば尿管カテーテルからの尿を溜めるベッド脇の集積パックを、バケツに空にするとか、色々お世話はしてくれますが、基本医療関係の人じゃないです。
慢性的人手不足の英国は、看護師を、フィリピンやコモンウェルスの国々(旧英領植民地)から募集している位なんですが、じゃぁ、足りているのか?と言えばそうではないらしく、、、余り期待も出来ず。。。
忙しい大部屋などは、Gentle careなどは期待出来ませんぜ…💦

入院時のエピソードの一つですが、2日目かなぁ、、、モルヒネに頼るな!とモルヒネを外された私。。。
痛いのもあるんですけれど、自分に高熱がある感覚だったので、熱を測って欲しい、熱があるなら解熱剤ちょうだい、と言ったのだが、看護師さん、熱を測って『熱は無い、あなたの気のせい!』と断固として言い放つ。そうなのかなぁ、暫く我慢したが、如何にもこうにも自分が知ったる高熱のサインはどんどん酷くなる。
ナースコールをしつこくやって、もう一度看護師さんが来た時に、熱が何度か教えてくれ、とたのんだら、38℃って言うんですよ‼️
ちょっと待った、、、それは熱があるって言うでしょ? 私は平熱が36℃無いの。コレ、高熱に入るの、お願いだから解熱剤くれって言って、渋々了承してくれたその看護師さん
私に薬を渡す時、
『アフリカではね、37℃オーバーが平熱よ‼️ 38℃なんて熱がある内に入らない。』
と捨て台詞。。。

いやぁ、、、ちょっと、、、私、手術終わったばっかりで、熱ってさ〜、感染症とか心配してくれないの?
それにここアフリカじゃないし、ワタシはアフリカ人じゃ無いんだから、、、
しかし、ホンマかいな、アフリカ人の平熱が37.5℃ですと⁇

ま、いいや、、、薬は貰ったし、
深く追求してガッカリしたり腹が立ったりするのは馬鹿げているので、何も言うまい…

お腹を切るとね、腹筋も切られるわけですね。
自分の身体がマットレス上でズレた時など、直そうとするのにも腹筋って使うんですよ、、、
その時に、まぁ、痛い痛い。。。
痛いだけじゃなく、切られた直後じゃ腹筋の機能もしないんでしょうから、身体のズレなんか治せません。
基本、腹筋を切られた後は、お腹に力を入れる事は出来ません。
笑うとか、咳とかくしゃみとか、天敵です。
そんなわけで、寝ている間にズレて痛いくらいの加圧式ソックスを直してもらうだの、尿管カテーテルを身体の一部が踏んでしまって、何しろ膀胱辺りが苦しいだの、色々看護師さんやヘルパーさんを呼ばなくちゃいけないんですが、、、あんまり来てくれない💦

その、同じ術後2日目。ランチ終わった直後だったかな。。。
来て欲しい時に来てくれない看護師さん。
ですが、熱と痛みでまだ朦朧とする中、『さぁ歩きましょう』とやって来た看護師さん。


え?

看護師さん:『さぁ、ベッドから起き上がって!』



ワタシ:『自分で起き上がるなんて、



看護師さん:『あら、どして?』


ワタシ :『昨日開腹手術したばかりで、お腹にチカラを入れられません!』


看護師さん:『でも歩かないと退院出来ないから歩きましょう!』


ワタシ :


看護師さん:『(ワタシの言った事をまるで聞いていない)ホラ、ベッドを起こすから、ベッドから出て!』



看護師さんの



でも私も必死。。。

身体中の痛みが私に訴えるんですもの、


無理無理無理無理無理無理無理無理
冷静に無理、
絶対に無理、
どう考えても無理!
完全に無理‼︎

頑として動かぬワタシに、

看護師さん:『じゃぁ、、、椅子に座りましょう、30分。』

看護師さん、妥協案を出して来た。
ひーふーと脂汗かきながら、ベッド脇の椅子に座る。。。
こう言う椅子ね。


看護師さん:30分座ったら、ベッドに戻れます。


30分経過。

60分経過。

誰も来ない。
ナースコールのボタンはベッド脇で、ヒョイと立ち上がれば簡単に届く距離だが、いかんせん、私は腹筋にチカラを入れられないので立ち上がる事が出来ない。
病室のヘルパーさんは、週末だからか、今日に限って居ない。。。

お茶を配るティーレディーが来たので、看護師さんを呼んで、とお願いするも、

180分経過。

誰も来てくれない。

2回目のティーレディーが登場。

看護師さん、呼んで!お願い!と必死さを訴え、ティーレディーも呼んでくると言ってくれて、看護師さんがチラッと来てくれたが、

ベッドに戻りたいのね、ちょっと待って、すぐ帰って来るから、

そしてまた時間だけが経過して行く。。。

結局ベッドに戻れたのは夕食が配膳される直前。

尿管カテーテルは繋がってるし、トイレに行く必要も無かったのだが、30分と言われたのに、多分6時間近く座らされて居た筈。。。

ベッドに戻してくれる時、
明日は絶対歩け、モルヒネに頼るのはもう辞めなさい、外します、
明日は絶対歩け、明日は絶対歩け、
もうそれしか言わない。。。

熱があっても、痛みにモルヒネ使っている状態でも、開腹手術2日目で歩かせようとするのがNHS。。。

翌日は、尿管カテーテルと点滴(モルヒネでは無い)をつけたまま、歩きましたですよ、、、
病室からナースステーションまでと言われたが、、病室からナースステーションを超えた病室の入り口まで、言われた倍の距離を歩きました。

だって、翌日には帰宅、と言われたんでね、、、💦

こんな状態でもう帰るんかい❗️

と脂汗かきながら思う訳ですよ、、、。

まぁ、でも、私が運び込まれた大部屋は、長期間病院に居ることを期待されていない患者さんの集積部屋。
なので、次々と救急から運び込まれたる患者さんが多く、あっという間にベッドが埋まって行く。。。
元々、NHSは患者数に対してベッド数が足りないと言う問題が、全国的に恒久状態である。
早く出て行って貰いたい、と言う強い病院の意思を感じずにはいられない💦

痛い痛いと喚く声や、嘔吐の音など、具合の悪いご当人には申し訳無いのだが、嘔吐恐怖症の私には地獄。。。
こんな状態で帰るんかい!とは思うが、こんな所に居たくない、とも思う。


さて、、、
手術後に血栓が出来る事を防ぐために抗凝固薬を一定期間注射しなければいけないのだが、帰宅後には地域看護師が28日間毎日来て抗凝血薬を注射してくれる、と言うのだけれど…

そう私に告げている病院看護師でさえ、まぁ、(地域看護師が毎日なんて)絶対来ないわよね、、、と言う事で、
看護師さん:『自分で注射する練習をしましょう』



太腿(お腹でも良いと言われたが怖すぎて無理💦)の一部を摘んで、一本ずつ梱包されている抗凝血剤が入った注射器を肌に対して直角に持ちプスリと針を刺し、注入。。。
終わったら針にキャップしてポキッと折って、黄色い危険物扱いのバケツ(中身を取り出し出来ない蓋付き)に入れるのである。

病院に居るのに、なぜ今ワタシは自分で注射💉しているんだろう⁇

結局ね、退院後、地域看護師が訪問してくれたのは、1週間後に1回だけ。
結局毎日なんて来なかったのだから、自分の健康を考えたら注射の仕方を教えてくれた病院の看護師さんに感謝である。

NHSは、基本DIY。

それがワタシがこの術後の対応で学んだ事であるのだが、、、
夫も今大変お世話になっている身であるし、夫の病院/血液内科は、ワタシが入院した病院より、対応が親切な気もするので、病院によるのかなぁ。。。

ともあれ、、、

やんごとないご身分のキャサリン妃は、開腹手術の後に物凄い圧を受けながら歩かされたり放置されたりする事もないだろう。。。

心配なのは、、、その入院日数である、、、。

お早いご快復をお祈りするのみである。