キルギスなどの中央アジアには、

❝高麗(コリア)のサラダ❞

という名前の

超有名なサラダがあります。



その前に。


キルギスやカザフスタンなどの

中央アジアには、たくさんの

コリョサラム=高麗(コリア)人が

住んでいます。


彼らのルーツは朝鮮半島 南北コリア。

主にスターリン時代にロシア沿海州から

強制移住されられてきた人達やその

子孫達です。


私にも知り合いが複数いますが、

彼らの名前は


アレクサンドル・キム 

ドミトリー・カン 

イーゴリ・ツァイ


とか、そんな感じです。


あのヴィクトル・ツォイも、

父親が北出身のコリアの方でしたよね。



ほとんどの方は南北コリア語を話す事が

出来ず、ロシア語で生活している人が

多いです。

数も多いし、歴史もまぁまぁ長いので、

彼等の存在はかなり中央アジアの

社会の中に溶け込んでいると言えます。



前回のこちらの記事でも最後に、

バザールのお惣菜屋さんに

ドゥンガン人と並んでもう1つの

民族がいる事をちらっと書いたのですが、



それがコリョサラム、コリア人です。


ドゥンガン人もコリア人も東アジア人
ですから、
バザールのその一角に来ると

何だかホッとする様な、
安心する様な、
中央アジアでない所にいる様な、
そんな不思議な感覚になります。


よく、キルギス人と日本人が似ている
とか言われますが、私の感覚では
そんなに似ていない場合が多いです。

キルギス人の外見のタイプは、大体
大きく2つに分けられるかなぁと、
観察していて感じました。

そのうちの1つのタイプは
東アジア的な感じで、日本人で言うと
薩摩的な風防。
もう1つのタイプは、コーカソイドと
混血してそうなタイプです。


薩摩的な方の人でも、やはり大柄で
体格も態度も大きく、大陸的な雰囲気が
漂う人が多いので、
そんなに日本人って感じでもないかな〜
と思ったりしています。

とはいえ、日本人に超似てる親戚とかも
何人もいますが…。


でも、ドゥンガンやコリョの人達は
まんま東アジア人であるせいか、
見慣れているし、たとえ顔は日本人に
似ていなくても雰囲気とか、そんなのが
日本人にエンパシーを感じさせるのかな。


そんなコリョの名が付けられた、
中央アジアだけでなくロシアでも
誰もが知る、コリアのサラダ。

さて、一体何でしょう?

それがこちらです。


❝人参のコリア風❞
❝コリア風人参サラダ❞

みたいな感じで
呼び方はいくつもありますが、
実際会話では

「今日コリアの、作るわ」

みたいな感じになり泣き笑い
意味不明ですね。


この人参のコリア風、材料はシンプルで
人参
にんにく
粗挽き胡椒
砂糖
あれば、唐辛子

あたりがメインで、ディルなどの
ハーブ類やら他の野菜を加えることも
ありますが、
基本的には材料はこれだけ。
先に塩と酢で簡単にマリネして置いておき、
あとから水分を絞って残りの調味料を
入れていきます。


ラペサラダより甘みやフルーティーさ、
酸味が圧倒的に少なく、生にんにくと
大量の粗挽き胡椒のパンチが効いていて、
サラダと言うよりもおかず感が強いです。

お惣菜ですね。


で、これの一体何がコリア風なのかと
言うと…
正直、全くわからない。
むしろ、全くコリア感なし

ただ、なぜかコリョの人が売っている。

たくさんアレンジも加え、この
シュレッド人参を基礎として、他の
多様な野菜や具材を混ぜ込んで、
バリエーション豊かな感じにして
売っている。


以前、夫や友人の何人かと、なぜこれが
コリア風と言われるのか、話し合った事が
あります。

そして出た答えが、

❝当時のコリョサラム達が、朝鮮半島の
キムチを懐かしんで、材料が手に入らない
中央アジアで、これをキムチに見立てて、
あるいはキムチの代わりとしていたのでは
ないか?❞

という事でした。


確かに、キルギスに❝Китайская капуста
 (直訳すると、中国のキャベツ)❞
と呼ばれる白菜が出回り始めたのは
ここ20年くらいの間の事らしいです。

という事は、その前は白菜がなかった。
そもそもキルギス人、そんなに野菜を
たくさん食べないから、長期保存が
きいて冬を越すじゃがいも・玉ねぎ・
にんじんなどを除いて、元々そこまで
野菜が豊富にあった訳ではなさそう。

白菜が冬を越すのは、それこそキムチなど
漬物にするからですよね!

と思った時に、

だからか〜!!

と合点がいきました。


私は韓国に約5年間、行ったり来たり
しながら住んでいた経験があるのですが、
コリア…ってか、韓国の人たちは、
とにかくよく食品を貯蔵しています。

朝ごはんなんて、冷蔵庫からいくつか
キムチ類や他のおかずを5種類くらい
パパパッ と出して、ご飯とスープ類を
よそって、3分くらいで完成する。


多分、コリアの人達はその生活パターンの
イメージが強くついているんでしょうね!!

これって習慣だから、食の内容はたとえ
変化しても、そのパターンだけは残す。
そう、人間の脳は扱うアイテムが変わっても
パターンだけは残りますからね。

そうなると、食感が似ていて同じ様な
調味料を使って保存が効く、当時
中央アジアにあった食材って、、、


にんじんだったのかぁ。


…と思うと、大変に感慨深い想いが
しました。

ちなみに、ほんっとにんにくの量
超多いですよ泣き笑い


ちなみに、キルギス人には普通にこれが
❝中央アジアにいるコリョサラムのキムチ❞
に見えるらしく、
うちの夫もしれっとして
「キルギスのコリョの人達のキムチでしょ」
と当たり前の様に捉えている様でした。

なるほど〜。


もう1つ面白いことは、バザールでは
このコリョの人達のお惣菜コーナーと、
前回の記事で書いたドゥンガン人の
お惣菜コーナーが隣り合わせだったりして、

なんか内容もほぼカブってしまっていて、
どっちがコリョでどっちがドゥンガンか
結構分からない感じにシンクロしてるん
ですよ泣き笑い

でもまあ、強いて言えば
ドゥンガン人の方のお惣菜には、
きくらげやトウモロコシデンプンから
作られる謎のトコロテンみたいなやつとか
ちょっと変り種な種類の食材が入っていて、

コリアの方は韓国の食堂で出てくる
밑반찬(ミッパンチャン=注文品とは違う、
基本的に付いてくる無料の、いくつかの
おかず達)にあるような、ナスやきゅうり、
ズッキーニなどの野菜中心に混ぜ物を
しているところかなーと。


その東アジア同士のコリア人と
ドゥンガン人が、キルギスのバザールで
ロシア語で話しながら仲良く、商売を
している。

これぞ  ❝ザ!中央アジア❞  的な風景で、
血が騒ぎますなキラキラキラキラキラキラ


あ、最後に。

しつこいですが、もし作る時は
にんにく入れすぎて下さい。

もう、ソウルの空港もスタイリッシュな
韓国人もにんにく臭くないと思いますが、

その昔…90年代頃まではにんにく
臭かったので指差し