今年の夏も終わろうとしています。
今年の夏、私は『映画』と『家族』の夏でした。
まず映画、3本の作品に出演しました。

一つ目は芸者さんとして踊るシーン。
二つ目はまだ情報公開できず。
三つ目は卑弥呼を描いた作品でアナウンサー役。

それぞれ初めての体験で
それぞれとても大変で
とても刺激的でした。

一つ一つ悔しさが残ったり
次はこうしようという想いが残ったり。

やはり初めてのことは
たいがいほろ苦い想い出になる。

このことはまた今度情報公開されてから。

そしてもう一つの出来事『家族』のこと。

今年、時を同じくして父が入院した。
そして結局最短で退院できた。

しかし家族の付き添いがコロナ禍のため
私1人だったので、
色々カルチャーショックを受けた。

世の中にはこんな仕事をしている人がいる事。
そしてこういうふうに病院に来ている人が
いるってこと。

本当に心の底から医療従事者の
人に感謝と尊敬だった。

『あぁ俺は世の中のために何をしておったか』
というのは先日のオンライン単独朗読劇の
小川未明作品『小さい針の音』の主人公の
セリフだけど、まさにそういう気持ちだった。

この作品の再演もホントに奇跡だと思った。
選んでもらえる事、
応援してもらえる事は奇跡だ。
行動として、大切なお金と
貴重な時間をさいてみてくれた
みんながおしあげてくれたからこそ出来たこと。
これはホントに奇跡だと思うから。
心から感謝しています。
いつもありがとう。

それにしても、病院というのは
未知なる世界だった。

担当ドクターは、年間500件手術していると
言っていて、それって『何人の命救ってるの?!』って思ったし、
まさに神の手だなと思った。

ドクターは口数少ないのに凄みがあった。
一言一言が明確で無駄がなかった。
言葉がこういう伝わり方すると
こんなにも安心したりするのかとも思った。


最新の医療のすごさにも驚いた。
今まで見たことのないものを色々見た。

ここに来るまでにたくさん神頼みもした。
それは実際、私の支えになったりもした。

だけど、本当に実感したのは
『人間の底力』のようなものかもしれない。

本人の『心の強さ』。
何かにぶつかったとき
『それがなんだ』と思えるかだ。

心の力は本当に大きい。
回復も全然違う。

そして、『チーム医療』のバックアップ。
『ドクターも看護師もみんなで応援しますから』と先生が言った言葉が忘れられない。

さらに失敗が許されないプロの仕事の
現場とはこういうものかと。
まさに命をかけて命を守るということ。
ザ・プロフェッショナルの逞しさというか
やはり凄みとしかいいようがない。
具体的には『時間』と明確な『テクニック』と
『安心感』である。

さらに、こちら側の別視点でいうと
『普通』の大切さ。

私は待ち時間に病院内のタリーズに
長時間いたのだが
そこにはたくさんの『普通』があった。

患者さんがゆっくりコーヒーを飲んでいたり
ご家族がそっと座っていたり、
普通に笑っていたり。

そこにいた車椅子のご高齢の女性は、
微笑みながらゆっくり外の木々を見ていた。
その様子は美しかった。

かと思えば、旦那様が手術中なのに
品のないお喋りをしてる奥さんもいた。

どんな時も『普通』はすごく大切だなって。
いつもどおりを守るってすごく大切。
私はどんな『普通』を持っているだろう?

さらにいえば『おはよう』の一言や、
普通にご飯が食べられること。

それがどれだけありがたいか。

特別な言葉に『何か』があるのではなく、
『普通』の中に『心』や『守りたい日常』は
ある。って思った。

まぁ簡単にいうと
普通に生きてるってすごいよなーって
改めて思うから
人はその普通を大切にしようと
するんだろうなと。

余談だが、手術室前で
林さんというご夫婦のワンシーンを見た。

林さんの奥さんが手術後ストレッチャーから
出てきた。奥さんは意識があった。
そこでスーツ姿の旦那さんがかけよって。。

奥さん『無事終わったぁ、、』
旦那さん『うん、、』
奥さん『これから会社戻るの?』
旦那さん『うん、、』
※旦那さんが奥さんの手を握る。
奥さん『これから行くの?』
旦那さん『うん』
奥さん『気をつけてね』
旦那さん『うん』

※奥さんの手を握る旦那様
奥さん『行ってらっしゃい』
旦那さん『うん。』

※そしてドクターや看護師さんに頭を下げる。
笑顔で見守る医療従事者。
※ストレッチャーで運ばれていく奥さん。
見送る旦那さん。
その背中。
そして表情をひきしめ、
足早に会社に戻っていく。


旦那さん『うん』しかいってないのに、
この2人の関係性というか
夫婦の間にとても温かな空気が
あったなぁとじんわり思った。

人は土壇場になると
何を話すんだろ。結局のところ、
普通に積み重ねてきた会話しか出ないんだ。

今までどんなふうに生きてきたとか
何を考えてそういう感覚になって、
どういう思考になるとか、今まで
どんな言葉を選び、
誰とどんな会話してきたかとか

そういうのしかない。

林さんご夫婦は、
きっと今までも奥さんは
旦那さんを気遣ってきた。
だから自分が手術直後なのに
『いってらっしゃい』という。

旦那さんも静かな愛情で
接してきた。
きっとうまい言葉なんて言えない人。
でもその手はあたたかかっただろう。
それが一瞬の空気に全て溢れていた。

私もいつもどおりの口調で、
父には、『ぶじおわったよ。』と
シンプルなことしかいえなかった。

にしても、、、、、
普通は本当にありがたい。

昨日までの普通が
今日は普通じゃなくなることは
本当に怖いな。

砂時計のように
『今』を大切に思う。

当たり前はない。

そしてその瞬間瞬間を大切にして
積み重ねないと
後悔するって思った。

それは特別なことではなく、
どれだけ普通に積み重ねられるかって事で。

なので、私はなるべく普通を
大切にしようと思う。
そしてゆるがない自分になりたい。

ちょっとうまくまとまらないけど
そんな感じで私の夏は終わろうとしてます。

(写真は初めての映画の練習シーンと
撮影シーンです。)


秋もよろしくね。