モンテネグロのダム建設 衝撃を受けたパタゴニアのクリーネストライン② | モンテネグロな生活

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モンテネグロっていったいどこ?
主人の赴任が決まってから地図を広げてみた私が、来てみて初めて知るモンテネグロという国を日々の生活を通してお伝えします

前回、前々回とモンテネグロをはじめバルカンのダム建設、水力発電所について書いております。




またInstagramで見つけた投稿から、バルカンのダム建設に反対する活動を支援する、アウトドア用品のブランド「パタゴニア」の取り組みを知り、そのことについても書いております。




モンテネグロは再生可能エネルギーへの取り組みとして、中小規模の水力発電所のためのダム建設をいくつか計画しているようです。

しかし、「パタゴニア」の創設者 イヴォン・シュイナード氏の

「ダムの真実を明かす」

という投稿を読む限り、ダムの必要性に疑問を持たざるを得なくなりました。


地球環境問題の対策のための再生可能エネルギー。

温室効果ガス削減のため脱炭素化を目指すのに、ダムからは二酸化炭素よりはるかに温室効果の高いメタンガスが発生しているという事実。

また、川をせき止めることによる生態系への悪影響も懸念されています。

モンテネグロのダム建設について何か情報はないかと探していたら、パンダのマークでお馴染みのWWF(世界自然保護基金)のホームページを見つけました。

モンテネグロのダム建設に関する記事は、2010〜12年頃に投稿されたものがいくつかあります。



WWFはモンテネグロのモラチャ川のダム建設が周辺の自然環境や地域にもたらす影響を調査していました。

モラチャ川はシュコダル湖に流れ込んでいるため、ダム建設はシュコダル湖や周辺の湿地に重篤な悪影響をもたらすことを報告しています。

(WWFのサイトより私がまとめております。ただ、投稿は7〜8年前のものです。)


シュコダル湖はバルカン半島最大の湖であり、モンテネグロとアルバニアの国境にあります。

シュコダル湖はラムサール条約で「国際的に重要な湿地」に登録されており、ヨーロッパ最大の鳥類の保護区で約270種の鳥が生息しています。

主人が撮影した写真です↓ 
 自然豊かな鳥たちの楽園です。



これは私です。画質わるいですね。



こちらは前回ご紹介したモンテネグロのガイドブックに載っていたので写真です↓




対岸はアルバニアです↓



こちらも主人の写真↓


豊かな緑の湿地は多くの生き物を育み、生態系を守っています。
生物多様性が成り立つこのシュコダル湖は、モンテネグロ、いやヨーロッパにおいて守っていかなくてはならない自然の1つなのです。

WWFとしては2007年以降ずっとモンテネグロ政府に対し、環境へのダメージを最小限にとどめるよう、ダム建設や水に関するインフラ整備を欧州水枠組司令の規定に基づいて行うよう呼びかけてきました。

モンテネグロ政府もダム建設における環境への影響を調査を行なっていたので、その点は評価されています。


しかし、WWFの調査報告によれば、

シュコダル湖に流れ込むモラチャ川に建設を予定されている4つのダムは、モラチャ川、モラチャ渓谷、そしてしシュコダル湖やその周辺の湿地に悪影響をもたらすだろう、とのこと。

その悪影響はモラチャ川の生態系だけでなく、シュコダル湖の生物多様性にも被害を及ぼすことになります。


そしてこの悪影響は、地域住民の生活にとっても脅威となり得ます。

シュコダル湖はモンテネグロの魚の消費量の90%以上を供給しており、シュコダル湖の生物多様性の崩壊は漁業で生計を立てる地域住民の人々の生活手段を奪い、また、モンテネグロの食生活への影響も生じてきます。

こちらは去年お友達のイレェナさんが料理してくれたシュコダル湖で獲れたお魚とうなぎです↓
私達日本人がうなぎが好きなのを知っていて用意してくれました。

出てきたお魚料理の全てがシュコダル湖の魚だと言ってました。





前回ご紹介したモンテネグロでガイドブックにも漁の様子が載ってました↓








WWFとしてはモンテネグロ政府に対して、

モラチャ川に建設するダムが「自然への影響を最小限に抑えて、最高のコストパフォーマンスで電力生産できる」ということを証明しなくてはならないとし、ダム建設を進める前に今一度WWFの調査報告を厳粛に考慮してもらいたいと望んでいます。


WWFの警告はモンテネグロ政府に受け入れられるのでしょうか?

長くなりますのでまた続きは次回に。