私が八千草薫さんとご一緒したのは、

ほんの数分の短いシーンでした。

ドラマ「3つの月」で

私は看護師、ベッドに八千草さん。

撮影に入る前、側に立つと、

肌は透き通って白くて、

ふわふわした小さなウサギのように

くりっとした目で、本当に可愛らしい方で

私はその姿に釘付けになりました。

撮影が始まった瞬間、

先程までの凛とした姿は嘘のように

もう、突然消えかけたロウソクの火の様に

儚げにそこにいて、

短い撮影の時間が、

なんとも言えない長さに感じました。

交わしたのもほんのいくつかの言葉でしたが

その全部に命が宿っていると

実感できる方でした。

心よりご冥福をお祈りいたします。