4月はインプットの月
ということで、色々なコンサートに足を運んだり、他ジャンルの作家さんと交流を持ってみたりしている。
この日は楽しみにしていたフィンランドのピアニスト、ティモ・アラコティラさんと国内最大火力女子の異名を持つアコーディオニスト、藤野由佳さんのコンサート。
最近、音楽ライブを聴いていると見えないはずの抽象イメージのようなものが見えるようになった、ような気がする…
このコンサートの前日には日本のギタリスト神3(スリー/勝手に命名/小川倫生さん、伊藤賢一さん、山本哲也さん)のコンサートへ行っていたのだが、そのときはギターから、アーティストから生み出される音がシャボン玉みたいに膨らみ、動き、浮かんでいるのが見えるような気がした。
今回のティモさんと藤野さんのコンサートでは、ティモさんと藤野さんから、そしてティモさんとゲストのフルート奏者、赤木りえさんから、にょきにょきと大きくて長い手が伸びて、がっちり握手をする瞬間が何度も見えた。
わたしの心は揺さぶられ、踊った。
ツアーの各会場のセットリストは分からないけれど、栃木では藤野さんと一緒に演奏させていただいたことがある思い出の曲「On the Ocean」で始まった。
藤野さんが船上演奏のお仕事のときに作られた曲。
キラキラした海、波間をぐいぐいと力強く進む船、気がつくと「ティモさん、ようこそ日本へ、海を超えて遥々やってきてくれてありがとう!」(飛行機だけど笑)という気持ちになっていた。
そしてティモさんも藤野さんも深い繋がりがあったカンテレ奏者、あらひろこさんを忍んでお2人がそれぞれに作曲された2曲。
藤野さんの「Valkoinen kukka」(白い花)は大切な思い出を綴っているように感じ、そして「淋しいです」という声が聞こえてきた。
一方ティモさんの「Hiroko」はそのタイトル通り、あらさんという人間そのものを音で描写されているように思えた。凛とした静かな佇まい、優しさ、柔らかさ、強さ、ユーモア、掴みどころがなくちょっと不思議な感じ。
大切な人を言葉ではなく2人で一緒に音を奏でることで偲ぶことができる、なんて素晴らしいのだろう。
2020年2月あらさんにギタリストの安生正人さんと2人で北海道に呼んでいただいて演奏旅行をしたことを思い出していた。
ゲストの赤木りえさんの演奏も凄まじかった。
パッションがあり、身体も音も踊っていた。
音響はフルートのみマイクを入れていたけれど、歌い手さんのようにマイクとの距離を巧みにコントロールされていた。
前述のティモさんと赤木さんががっちり握手する瞬間は「よっしゃー!!」とガッツポーズしたくなる高揚感があった。
「Land of the Wind」
最近よく考えている「コラボレーションの意味」のひとつの答えを教えてくれたような気がした。
私とあなたは違うけど、私はあなたを理解したい、リスペクトする、そういう想いが伝わってきた。
最後の曲も、藤野さんとご一緒させていただいたことのある曲だった。
「nanohana」
ティモユカりえなのはなは大幅にアレンジが変更されていて、ダイナミック且つしなやかで、お三方の色が美しく溶け合っていた。
この曲に限らず、急にふっと現れるティモさんの左手と右手を交互にぴょこぴょことコード進行させる奏法、なんというのでしょうか、分からないけど、すきだなあ。
CDにサインしてもらう時に少しでもティモさんと会話してみたいと思って、英語が堪能ではないわたしは2つの質問を用意して行った。
◆マラソンにとって1番大切なことは?
ティモさんはツアー中も日課のジョギングを休まずされていたそうで、「だいたい毎日10km、今朝はハーフ(21km)走ってきたよ」とおっしゃっていた。
わたしが時々「運動×音楽」のお仕事でご一緒させていただいている運動指導者の方も仕事で遠方に行くときはなるべくその土地を走ると言っていた。そうしてその土地の空気や雰囲気を知るようにするのだそう。
◆音楽にとって1番大切なことは?
どちらの質問の答えもびっくりするような答えではなく、当たり前のことだった。当たり前のことを当たり前に大切にするのは意外と難しい。
2つの質問になんて答えてくれたかは、わたしと今回このコンサートを一緒に行ってくださったお友達だけの宝物。
ティモさんの演奏を終えるときの所作がとても好きだ。
ティモさんが持ってきていたたくさんのCDは売り切れてしまって買えなかった。「隠し持って」おられた最後の1枚(フィドルとのデュオと聴いたけれど、誰だったんだろう?)は購入希望者で藤野さんと勝ち抜きジャンケン大会になり、「I don't know what's happening」なティモさんそっちのけ?で、盛り上がった笑
1回戦であっけなく負けたわたしだけれど、後からお友達が2人も「ゆみえさん欲しいと思って…」と譲ってくれる前提でジャンケンに参加してくれていたことを知る(涙)2人とも負けちゃったけれど、お気持ちがとても嬉しかった。
藤野さんの心のふるさと、栃木県鹿沼市のフレンチカジュアルレストラン、アラボンヌママンの桂さんにお願いして作ってもらってプレゼントしたすずらんのピアス、ツアー中つけてくださっていたみたいでとても嬉しかった。演奏中ぶんぶんすずらんが揺れてステキだった。
「揺れるのがいいと思うんだよね〜」って桂さんの着眼点さすが♪
素晴らしい時間をありがとう、赤木さん、藤野さん、ティモさん。
いつかわたしもフィンランドへ行きたい。
ティモさんが50年一緒に演奏しているAlto Järveläさん(あらさんの友人でもあった)に会いたい。
someday
ミーハーしてしまった!嬉しそうなわたし
よろしく ???な音楽家 と書いてある??
久しぶりに来たフェローズは大改装されていて、以前もよかったけれど、生音の響きがさらにとてもよかった。スタインウェイは、オーナーの秋山さんが事前にティモさんの演奏音源を聴いて、それに合わせた調律(441Hz)を入れたそう。演者を大切にしてくれるお店。