去年の秋ぐらいからぼちぼちと調査を始めたことがありまして…

 

ことの始まりは、魂柱(こんちゅう)調整をした後のある演奏会を聴いてくださったご婦人が音の変化に感動してくださったことでした。

 

そもそも魂柱とは…

 

バイオリン(ビオラやチェロなども)の楽器本体の中に立っている一本の棒のことで、弦から駒へ、駒から表板へ伝わる音を裏板まで振動させる役割があります。接着剤などでくっついているものではなく、表板と裏板の間に挟まって立っているイメージです。

 

その魂柱を少し移動させたり傾けたりすることにより音色の調整をすることができます。かなり音が変わります。

 

つまり、その名の通り、バイオリンの魂とも言うべき柱なのです。

 

ご婦人はその名前にも興味を持ってくださり、「他の国でも同じように魂の柱と言うのかしら?」と疑問に思われました。

 

そんなこと考えもしなかった私でしたが、面白い!と思い、調べることにしたのです。

 

しかしパソコンでは限界がありました。

英語くらいはすぐ出てくるのですが、他の言語が分からない。

Google翻訳などで安易にインプットしてみても、「魂の柱」をそのまま翻訳してしまうだけ。

実際にどう言われているかは、ミュージシャンに聞いてみないと分からないのではないか…。

 

ということで尊敬する音楽家や弦楽器製作者、友人を頼ることにしました。

 

ここで、先にお礼をお伝えしたいと思います。

 

北欧音楽に造詣が深い阪上義昭様     ※北欧のミュージシャンに直接聞いてくださいました!

北欧伝統音楽に精通する演奏・作曲家野間友貴様

バイオリン・ハーディングフェーレ製作家原圭佑様

北欧の素晴らしいミュージシャン

Anna Wegelius

Piia Kleemola

Kristian Bugge

Krista Sildoja

 

心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

 

では、本題へ。

ご協力いただいた方々を見るとお分かりの通り、北欧の言語を中心に調べてみました。

 

 

英語  sound post   

 

フィンランド語  äänipinna

※ aaniが「sound」、pinnaが「a pin」「stick」「string」という意味だそうです。

 

デンマーク語 stemmestok

※stemmeが「voice」、stokが「stick」だそうです。

 

エストニア語 KÕLAPULK

KÕLAが「sound」、PULKが「stick」

 

スウェーデン語 ljudpinne

※ljudが「sound」、pinneが「stick」

 

ノルウェー語 lydpinne

※lydが「sound」、pinne「stick」

 

イタリア語 anima 

※心、魂、生命という意味だそうです

 

ドイツ語 Stimmstueck /  seele

※stimmが「音」、stueckが「柱」 、seeleは「魂」

 

スペイン語 Alma 

※心、魂

 

 

西南ヨーロッパ圏では「魂」や「心」と言ったような抽象的な言葉で表現しているのに対し、北欧圏では英語より(というより、英語が後?)の実用的な言葉「音の柱」だったり「声の柱」というような言葉を使っていることが分かります。

 

日本語が西南ヨーロッパ圏よりであることは、なぜなのか。

 

私の仮説___バイオリン製作を志した日本人がバイオリン製作の本場イタリアへ修行へ行き、そこでイタリア語の「魂」と言われていた一本の小さな棒を「魂柱」と言い始めたのではないか。

 

日本にバイオリン属が伝わったのは16世紀中頃、ヴィオラ・ダ・ブラッチョをポルトガル人宣教師がミサでの演奏用に日本の子供に教えていたとのこと。

 

明治になってドイツ系の外国人教師によってバイオリン奏者が養成されていったそうです。

 

1887年、鈴木政吉によって日本で初めてのバイオリン製造会社、鈴木バイオリン製造が創業されたのですが、第一号バイオリンは、初めて見たバイオリンに惹かれ、三味線職人であった政吉が、外国人技術者の指導を受けず見よう見まねで製作を始めたとある。

 

誰がいつ「魂柱」と言い始めたのか?

調べてみると、夏目漱石というワードが出てくる。本当だろうか?

弦楽器職人ではなく、作家が言い始めたことなのだろうか?

 

もう少し掘り下げて調べてゆく必要がありそうです。

 

色々と詰めの甘い部分もあるかと思います。ご指摘ご意見どしどしお待ちしております。よろしくお願い致します。

 

という訳で、このお話、次回へ続く…!!