私の痛み。 | 『透明』

『透明』

透明で在りたい。
どこまでも…
どこまでも…

透明で
ありたい。


あなたの夢は、何ですか。
あなたは今、何に向かっているのですか。




そう聞かれる事が、
度々あった。


でもあたしは、
毎回、答えられなかった。



やりたい事、いや、
やってみたい事は、いくつもあったけど、


どうせ自分には…って、
始めようとも、やってみようとも、
しなかった。


ただの、
夢想家。


人を、妬み、
ただ指をくわえて、
羨んでるだけだった。



だから。




夢を聞かれるのが、
凄く、嫌いだった。



非現実的な事を答えた所で、
出来る訳ないと、馬鹿にされるんじゃないかって、


そんな劣等意識だけが、
あたしの頭の中を、ぐるぐるしていた。




あたしは、どうしたら、
良いのだろう...


そんな風に、
毎日毎日、漠然と思い、
自分の未来が輝くなんて、
到底、思えなかった。








あたし、自分が、
嫌いだった。


すっごく、嫌いだった。



あたしがあたしである事に、
何度恨んだか。


変えられない事実に、
嘆いても、どうしようもないし、
意味の無い無駄な事だけれど。



そんなあたしに、周りは言った。


自分を恨む無意味な事はやめて、
自分を受け入れる事に目を向けて。


と。


でも、それが出来ていたら、
今すぐにでも、やってるよ。
そう思っていた。




変えられないものに目を向けても、
本当、仕方ないのは解ってた。


だからこそ、
余計に苦しかった。




自分を受け入れられる様になる迄、
大分、時間がかかったよ。



今だって、
正直、
完全には、自分を、認める事が、
出来ていないかも知れない。



自分の本性は、
まだまだ、醜く汚れてるから。




あたしは、
本当、どうしようもなかった。


卑劣で卑怯で冷酷で偽善の塊。



誰も愛せなかったし、
誰にも愛されていないと思っていたし、
他人なんてどうでも良いと思っていたし、
自分さえ良ければ良いと考えていた様な人間だった。



憎い人が、
事故にあった時だって、
心の底からあわれむ事なんて、
出来なかった。


可哀想だなんて、
これっぽっちも、思えなかったんだ。



友人が結婚した時も、
本当は、祝福なんて、出来なかった。


喜べなかった。



何故あたしは、こんな人間なんだ…

何が、どうして、
こんな心の持ち主に、
なってしまったんだろう…



嘘をついて、
偽物のあたしを見せかける事で、
愛されている実感を、
得ようとしていた。



そんな自分が、今日、
何だか無性に、頭に浮かんだ。



ちょっと、苦しかった。
そのせいで、何もやる気が起きなかった。








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