子どものため

子どものため

子どものため

 

 

 

由美のため

由美のため

由美のため

 

 

 

兄ちゃんのため

兄ちゃんのため

兄ちゃんのため

 

 

 

 

ずーーーっと

母ちゃんはそう言ってきたね。

 

 

 

 

でも

それは嘘だったよね。

 

 

 

 

自分責めと自分嫌いのスペシャリスト

心屋認定カウンセラーゆみっち、こと林由美です。

 

 

 

 

 

 

小さい私は

それをずっと信じてきたんだ。

 

 

 

だから

「お願いだから父ちゃんと離婚して」という

私の必死な願いを

 

 

 

 

「子どものために離婚しない」と

母ちゃんに却下された時も

 

 

 

 

「私たち子どものため」なんだと

信じようとしてたんだ。

 

 

 

 

 

毎晩、繰り広げられる派手な喧嘩。

真っ暗な家庭の中の雰囲気。

四六時中聞かされる母ちゃんのグチ。

 

 

 

 

「母ちゃんほど不幸な母親はいない」

 

 

 

何度も

私にそう言ったよね。

 

 

 

私ね

父ちゃんを殺そうかと

包丁を持ったこともあるんだよ。

 

 

 

それでも

母ちゃんが離婚しないのは

私たち子どものためだと

 

 

 

私がいい大人になった最近まで

ずーーっと信じてたんだよ。

 

 

 

母ちゃんの言葉

アホみたいにずっと信じてた。

 

 

 

ホンマ

アホやな。

 

 

 

母ちゃんが離婚しないのは

母ちゃんのためだったのに。

 

 

 

でも喧嘩はする、愚痴は言う、

世界で一番不幸だと思いたい。

 

 

 

「子どものため」は

そのつじつま合わせのための

単なる、言い訳だったのに。

 

 

 

 

 

 

 

私ね

世間の母親の気持ちがわからなかった。

 

 

 

子育てしてないし。

 

 

 

でもね

子どもが幸せなら

母親も幸せなんかな、って思ってた。

 

 

 

子どもが不幸なら

母親もつらいんかな、って。

 

 

 

 

母ちゃんは違ったよね。

 

 

 

 

私が再々婚して幸せだ、と言っても

それが認められなかったよね。

 

 

 

 

「幸せなはずがない」って

怒ってたよね。

 

 

 

 

母ちゃんの気に入らない人と

私が再々婚したから

 

 

 

私にも

その再々婚相手にも

 

 

 

猛烈な怒りを

浴びせてきたよね。

 

 

 

「私の幸せは関係ないんやな。

自分が嫌なら娘の幸せも壊そうとするんやな」

 

 

 

私は

そう思ったよ。

 

 

 

 

 

 

「この人は自分の気持ちや感情が優先なんだ」

 

 

 

子どもの気持ちよりも

自分の感情が最優先。

 

 

 

母ちゃんのことを

そうはっきり

私が認識できたのが

ここ数年。

 

 

 

 

諦めようと思ったよ。

 

 

 

仕方ない。

私が幸せになればそれでいい。

 

 

 

それでも時々

無性に情けなく

無性に腹立たしくなる。

 

 

 

なぜなら

小さい私は

 

 

 

自分の感情よりも

母ちゃんの気持ちが大切だったから。

 

 

 

自分の辛く苦しい気持ちよりも

母ちゃんの笑顔の方が大切だったから。

 

 

 

そして

「子どものため」

 

 

 

母ちゃんの言葉を

心の底から信じてたから。

 

 

 

でも

本当に

「子どものため」と思うなら

 

 

 

あんなに

父ちゃんのグチ

幼い私に聞かせないよね。

 

 

 

 

「子どもさえ居なかったら

自由になれるのに」

 

 

 

幼い私に

そんなこと言わないよね。

 

 

 

今、パニックを抱えながらも

夫婦2人で幸せに暮らしている私に

 

 

 

「そんな結婚をしたから

そんな病気になるんだ」

 

 

 

そんなこと言わないよね。

 

 

 

 

 

 

空港で

叔母ちゃんが飛び立ったのを

母ちゃんと見送った。

 

 

 

 

知ってるよ。

 

 

 

それでも

母ちゃんは人が良くて

裏表がなくて

情が深くて

 

 

 

そんなに悪い人じゃない。

 

 

 

 

でも

子どもの私は

つらかったのよ。

 

 

 

今の私も

つらいのよ。

 

 

 

そんな気持ちも

母ちゃん

わからんやろ?

 

 

 

何度言っても

わからんやろ?

 

 

 

だって

母ちゃんは

自分の気持ちが最優先やもん。

 

 

 

 

空港で

母ちゃんが

「クリームソーダ食べたい」

 

 

 

 

「うん、わかった、食べよう」

 

 

 

 

「あれ?由美は?

クリームソーダ好きやろ?」

 

 

 

 

「私は好きやない。

小さい頃からずっと好きやない」

 

 

 

 

小さい頃から

レストランでは必ずクリームソーダ。

 

 

 

母ちゃんが好きなクリームソーダ。

 

 

 

私は母ちゃんが好きな物を知ってたよ。

だから一緒に食べてた。

 

 

 

でもね

 

 

 

私はクリームソーダ好きじゃないこと

母ちゃんは知らないよね。

 

 

 

本当は

あのクリームとソーダが混ざるのが

嫌いだった。

 

 

 

でも美味しそうに食べる母ちゃんを見て

幼い私は

嬉しくなって。

 

 

 

だから

本当は嫌いだったことも

最近まで思い出せなくて。

 

 

 

今もクリームソーダを見ると

なぜか

チクっと心が痛んでた。

 

 

 

母ちゃんは知らないよね。

 

 

 

母ちゃんの嬉しそうな顔を

嬉しそうに見ている幼い私。

 

 

 

母ちゃんは知らないよね。

 

 

 

その時の

私のクリームソーダが

半分以上残ってたことも

 

 

 

母ちゃんは知らないよね。

 

 

 

 

 

 

自分責めと自分嫌いのスペシャリスト

心屋認定カウンセラー ゆみっちでした。