夜中、トイレに行きたくて
眠い目を擦りながら起きた。
夫がトイレに行きたいと言い、一緒に着いて行ったが、急に動けなくなり横になってしまった場所がある。
いつもその場はそっと踏まない様に
避けて通る。
今そこにいるわけではないのに。
分かっているのに。
踏んではいけない様に感じる場所。
あの時、起き上がれなかった時
夫はどんな気持ちでいたのだろう。
在宅医療の看護師さんと2人、夫を介護ベッドに連れて行きたくても重くて動かない。
バスタオルを体の下に敷いて2人で引っ張りながら
何とかベッドまで運んだ。
声も出せなくて、ジェスチャーで
「ありがとう」と伝えたパパ。
そんな時の事が頭をよぎる。
夜中のトイレの時に思い出す。
なるべく夜中には起きたくないけど
年齢的にトイレに行きたくなってしまう私。
毎回パパがいた場所を見てしまうのは
これからも続くのかもしれません。
何年経っても夫が家で過ごした日々は
忘れない。
介護ベッドに座り、ぼーっとする姿。
外を見ている表情。
弟家族がお見舞いに来てくれた時の
優しい笑顔。
娘を思い、「このままじゃ死にきれないよ」と呟く姿。
そして、痛みも無くなり安心した様な夫の姿。
全部夢だったらいいのに。
目が覚めたら隣に夫がいたら幸せなのに。
こんな気持ちでいっぱいなのに、それでも涙は出ない。
何故なんだろう。