満室だった別荘の宿泊者は
真之と恭子の二人だけに
なっていました
真之は
山中湖のテニス村で
テニス部の合宿に
参加した後
伯父の別荘で
夏休みを過ごすため
一人で来ていたのでした
恭子の部屋とは
反対側の小部屋に
宿泊していたのでした。
春に大学を卒業した恭子と
高校に入学したばかりの真之が
二人だけになってから
恭子は
真之を見た時から
一度ディナーに誘って
真之少年の甘い匂いを
嗅いてみたい
という衝動にかられて
悶々としていたのでした
真之もまた
夢精を経験した日に
たまたま
廊下ですれ違った時の
恭子の匂いに
気付いて
山中湖の合宿の時に
女子部員から受けた
《性なる洗礼》で目覚めた
本能に火をつけたのでした
真之が
別荘を出て行った後
恭子は
BMWで
湖畔沿いの道を
流していました
遊覧船の桟橋辺りまで
走らせて来た時に
スケッチしている真之を
見つけたのでした
恭子は、BMWの中で
しばらく
様子を見ていましたが
桟橋の先端で
背を見せてスケッチする
真之の背後に近づいて
誘惑をはじめたのです
『とっても
上手に描かれているわよ
澤田くん・・』
シャネルの香りが
朝靄と一緒になって
真之の頬を撫でるように
流れていました
『朝靄の感じが
富士山を神秘的に浮かばせて
タッチがいいわ・・』
恭子の声と匂いが
真之の背後で悩ましく
刺激していたのでした
(つづく)



