義弟と少し話をして、私は自宅に戻った。

結局、寝ずの番は1度もせずに通夜を迎えることになってしまった。

でも、平常心を保ちながら通夜と告別式を乗り切る為・・・と自分に

言い聞かせて、旦那についていてあげられなかった事を心から

申し訳ないと思っている。

 

自宅に戻り、通夜の準備の為夜遅くまでかかって仕上げた。

入り口に飾る写真、弔問に来て頂いた方々にメッセージのお願い、

そして通夜でする喪主の挨拶文の清書。

喪主の挨拶は、葬儀屋さんに聞いたところ最近は喪主や遺族の方の

負担が大きいという事で、割愛される事が多くなってきていて、

名前を呼ばれたら一礼して終わり・・・というパターンらしい。

でも、私は挨拶はきちんとしたいので、割愛せずにやらせて下さい。

と、お願いしてやらせてもらう事になった。

 

旦那はがんの告知をされてから幾度となく、落ちる事があった。

落ちる・・・気分が落ち込んでしまい、生きる事を諦めてしまったように

見えた事もある。

でも、そんな旦那が「もう少し生きていたい!」そう思えるようになったのは

がんをカミンングアウトしても、引かずに聞いて受け入れてくれた友達。

仕事がすべてだった旦那に生きる希望を与えてくれた会社の方々。

周囲の暖かい見守りがあったからこその結果だと思っている。

本人からお礼を言えなくなってしまった分、旦那に変わり私がお世話になった

方々に最後のお礼として喪主の挨拶をしようと思ったのがきっかけだった。

 

でも、難しい。かしこまった挨拶なんてすることがないせいか、

文章がまとまらず、書いては消し、書いては消しを繰り返してやっと書き上げた。

禁句など似つかわしくない文言があるといけないので、

これを明日持って行き、斎場のスタッフに見てもらおうと思っている。

 

通夜当日。通夜は午後19時からの予定になっている。

当日の朝、昨晩は遅くまでかかったので寝不足気味で(ずーっとまともに眠って

ないけど)暫く、ボーっとしていた。

斎場の方には残る打合せがあるので、娘を残し1人で向かった。

 

この日の打合せは最終確認も含めたもので、式の進行のタイミングの確認が

メインで義弟と一緒に参加した。ここで持参した喪主の挨拶文を見てもらったら・・・

「これでいいと思います。きれいな字ですね。」と褒めて頂いてホッとした。

そして、菩提寺に支払うお金をどうするか・・・という事を聞かれ、

正直、お坊さんに支払う金額が如何ほどなのか想像もしていないので、

支払いもどうしたらいいのかわからないでいた。

「みなさん、どうされているんでしょうか?」

「それとなく菩提寺の方に伺いをたてて金額は決めていらっしゃるようです。

支払いは事前に用意される方もいらっしゃいますし、大金を持ち歩くのは

大変ですので、頂いたお香典の中からお支払いする方もいらっしゃいます。」

 

という事で、菩提寺への支払いは告別式終了後に現金でお香典の中から

支払うという方向でお願いした。斎場スタッフは金額がわかったら分かり次第

お伝えください。と言われた。その後、通夜振る舞い終了後に泊まる方の

お布団の数の確認と翌朝の朝食の数、火葬場で用意するお弁当の数を

決めておくように言われた。

これも検討がつかない数で(初めてで予想がつかないのは当たり前。)

私の方と旦那の友達は数の予想はつくけど、旦那の方の親戚などの数が

分からないので正直これが一番困った。

 

私の方は私の実の妹、母は東京に住んでいるけど生憎、胆石の手術で入院中

だったので、代わりに道内にいる叔父夫婦が出席してくれることになっていた。

妹は旭川なので泊まらないで帰るだろうけど、叔父夫婦は泊まるかもしれない。

斎場にはホテル並みに設備が整っているツインの部屋が2つある。

洗面台にきれいなお風呂もあるので、叔父夫婦が泊まると言ったらこの部屋を

使ってもらおう・・・そう考えていた。友達は休みの取れない人を除いて、

6,7人位が泊まっていく事を考えた。問題の旦那側の親戚・・・

旦那側は親族が義母の妹にあたる叔母関係の人しかいない。

亡くなった義父の方とは今はもう付き合いはないので、思い当たる人数は4人。

でも、この時点でも通夜に参列するのか、しないのかさえもわからない状態だった。

会社の人は泊まる人はいないと思うので、斎場のスタッフに何時がタイムリミット

なのか聞くと、お弁当は菩提寺の通夜の分は発注済みだけど、

朝食と火葬場で食べる分、お布団は今日の18時までと言われた。

「18時までにお返事します。」と言って、待ってもらうことにした。

 

打合せ終了後、少なくても1時間前までには斎場の方へお入り下さい。と

念を押され、後から始まる通夜に関して再度お願いをして私は

家に1人待っている娘の元へ帰った。