このブログは開設当初はがんと闘う旦那の闘病記として

始めましたが、昨年8月、旦那は52歳で人生の幕引きをし、

現在はリアルタイムではなく、過去に遡って闘病記を書いています。

 

 

 

 

3月26日 前日の内勤移動の話から1日経ち、病室という場所

ではありましたが、少しは落ち着きを取り戻し現実に目を向ける。

という事に直面した旦那。気持ちの整理も少しづつではありますが、

自分なりに受け入れる覚悟はしたみたいではありました。

 

気持ちが固まったからなのか、突然自分から大腸検査をお願い

したようで、会社が終わり病院へ行くと検査について色々と

話し始めました。旦那は胃体部がん、リンパ節、多発性肝転移と

いう病状で、がんと診断されて以降、他に転移がないかどうかなどの検査はしていませんでした。

なので受け入れる覚悟もついたところで手始めに気になっていた

大腸の状態を調べてもらおうと思いたったというのです。

私も他所への転移についてはすごく気になっていたので、

病院にいる間に検査をする事には賛成でした・・・

しかし気になるのは結果です。転移がない場合は問題ないですが、

もし見つかってしまったら・・・それも受け入れる精神力が必要に

なってきます。今の旦那にはたしてそれができるんだろうか・・・。

旦那だけではありません。私も受け止める事ができるんだろうか。

ここはどんな結果になろうと2人で受け止め、闘っていけばいい。

旦那が安心したい気持ちを最優先に大腸検査の話を進めて

もらうことにしました。

 

検査は3月29日に行うことになり、前日からその準備に取り掛かりました。食事内容が変わり、固形物から水分重視の内容で重湯やコーンスープといった物が出され、水は飲み放題。

夜から下剤を飲み始め、29日の朝から腸の中をきれいにする為の

薬を時間をかけて飲み出しました。

約3時間ほどかかりましたが、お昼頃にようやくOKがでて、

検査へと向かいました。

 

検査結果は・・・大腸はとってもきれいだった。転移の可能性はゼロ

という話を聞いて肩の力が抜けた気がしました。

この結果を聞いて一番喜んだのはもちろん旦那です。

便の様子を気にして、転移を疑っていたらしいので旦那の顔も

明るい表情に変わり、検査結果によっては違う覚悟も・・・と

考えて病院を訪れていたので、この日の私達は終始笑顔でいる事が

できました。

 

3月30日 病院から戻り、自宅で娘と遅めの夕食を終え、寛いで

いると旦那からメールがきました。

件名には「さよなら」と書かれていて、添付ファイルが張り付けて

ある模様。件名にびっくりしてさよならって何?なんでさよなら?

そう思いながら添付ファイルを開いて見ると、そこには自撮りで

驚いてびっくりした表情の旦那が写っていました。

しかしなんか違う。雰囲気が・・・。

あっ!髪が無くなって坊主になってる!そう気づいた時、

主治医からこの薬はほぼほぼ脱毛の副作用があります・・・

そう言われていた事を思い出した。

初回の投与から丁度2週間目の事でした。

オキサリプラチン+ゼローダの時はなかった副作用が次々と

現れ、そっちに気を取られすっかり脱毛の事は忘れていました。

旦那が送ってきた写メをずっと眺めて、色々な事を考えました。

副作用に翻弄され、トラックを降りる事になり、内勤移動、

大腸検査で喜び、脱毛が起こり今、旦那は本当に色々な事に

立ち向かわなければがんと闘えない。

前向きになれ!と言われてすぐに気持ちを切り替えろって方が

難しいはずなのに、この写メに写っている旦那の表情は

どこか吹っ切れたような顔をして見えるのは気のせいではない。

そう思うと、なぜだか涙が出てきて止まりませんでした。

 

3月31日 パクリタキセル+サイラムザ1-3回目

いつものように仕事が終わり、病室へ行くまでの間

どういう顔をして行こうか、悩んでいました。悲しそうな顔も変だし、

笑うのもなんだかな~そう思いつつ、結局はいつも通り。

態度は変えず、普通に入って行ったら旦那は抗がん剤投与の

最中でした。

「笑いも驚きもなくて非常に残念です!」

「えっ!だって昨日写メで見ちゃったからびっくりはしないです。」

「思ってたよりも似合ってるじゃん。坊主にしたの初めて見たね。」

 

照れくさそうに坊主になった頭を自分でなでなでしながら、髪が

抜けた時の話をしてくれました。

よく聞く話ですが、シャワーを浴びて頭を流していると何かが

指に引っかかる。「ん?」と思いつつもシャンプーを流していると

指に絡まる感じがして目を開けて見ると、髪がたくさん抜け落ちて

髪を引っ張ってみると、引っ張るだけ抜けてくる。抜けるだけ抜いて

シャワーを浴び終わってから頭を見ると、まだら模様で剥げている

事に納得いかず、頭にタオルをまいたまま病院の地下にある

床屋さんに直行し、坊主にしてもらった。ということでした。

中途半端に残ってるなら坊主の方がいい。という本人の意向で

きれいさっぱり無くなってしまいましたが、坊主にしてもらっている

間は「あ~さよなら!俺の髪」そう思いながら鏡越しにバリカンを

眺めていたそうです。