このブログは開設当初はがんと闘う旦那の闘病記として

始めましたが、昨年8月、旦那は52歳で人生の幕引きをし、

現在はリアルタイムではなく、過去に遡って闘病記を書いています。

 

 

2018年3月15日 前日の治療中止から一夜明け、

セカンドラインへと治療を進める為に今日から入院する事に

なっています。がんで治療をしている者にとって中止という言葉は

そこで希望が絶たれてしまう事も含む言葉になるので、発せられると

すぐにではなくても段階が進むにつれて、治療の終わりが近づく事に

なるので、できるだけ1つの薬剤を長く使える事が理想の治療と

なってくるのだと感じさせられました。

使いたくても使えない、薬に耐性というものがある限りどこかで

薬剤の変更を余儀なくされる時がきてしまう。セカンドラインは

出来れば長く治療していきたい、私と旦那はそう願い希望を

持って今日の入院へと進みました。

 

朝、いつもよりもせわしなくバタバタとしながら入院の準備に

取り掛かり、仕事のある娘に

「お父さん、また入院になちゃったけどお母さんのお手伝いちゃんと

してね。」

「うん。わかってる。」

そう、声を掛けて娘とは暫しのお別れ。

 

入院時は診察の時よりも遅く、10時40分までに来院するように

言われているので、準備が整うと比較的時間には余裕もって

家を出ることができました。

 

病院について、2階にある入院受付で手続きを済ませて、

消化器科のある5階からお迎えが来るのを待ちました。

前回の入院時はお迎えが来るまでやや暫く待たされた挙句、

2食続けて食事が出てこない・・・という苦い思い出があります。

なので入院時の話の時に、その事を前もって確認して今回は

安心して入院できるようにしてほしいとお願いしてありました。

 

5分位でお迎えがやって来ました。「おっ!今日は早い」

そんな事を思いながら案内についていき、前回と同じく寝間着を

受け取り病室へと向かいました。

いつも通り寝間着に着替え、程なく部屋担の看護師さんが挨拶

がてらバイタルチェックに来て、今日の予定を話し戻って行きました。

 

入院初日は特にこれといった治療もないので、一旦外出後、私も夕方過ぎに自宅に戻る事にしました。

 

3月16日 昼休みに旦那からメールが届いていたので目を通すと、

私が昨日帰った後に主治医からこれから始める治療の話があった事と、これから1クール目のパクリタキセル+サイラムザの投与が

始まる事が書かれてありました。メールが届いた時間は10時15分。

返事がこない想定をして返信しました。返信と言っても絵文字で

ハートマークドキドキを無数に連打しただけの超わかりやすいものです。

 

仕事が終わり、急いで病院へ向かいました。丁度晩御飯の配膳時で、

これから食べ始めという時でした。前回と違い、ちゃんと食事の

用意はされているようで安心しました。

食べ終わった旦那に今日の抗がん剤はどんな様子だったのか

聞いてみました。

オキサリプラチン+ゼローダの時とは違い、点滴にかかる時間が

長くなった事。4時間かかるらしい。

でも薬剤によっては自宅に点滴つけたまま帰宅して24時間点滴の

薬剤もある中、4時間で終われるのはまだ短い方なのかもしれない。

初日の投与終了後吐き気などの副作用もなく、比較的元気な様子に

私は少し安心した気持ちでいました。

前日の主治医からの「中止」の意味を治療中止と勘違いして、

崖から落とされた気分になっていた旦那でしたが、今は前向きに

闘える状態になっているように見え、頑張りがいい結果として

現れてくれたらいいなと旦那の顔を見ながら思いました。

旦那も「1度落とされたんだから、あとは登るだけ!」

そう言っていたのを思い出します。

 

明るく前向きになっていたはずの旦那ですが、実は心の中は

揺れていました。不安が付きまとい、私の前では強がり、

平気な顔をしていました。入院中の日記を見ると、

体のだるさがひどく、夜になると自然と涙が出てきて、病室で

声を殺しながら涙する・・・そんな毎日が続いていたようです。

がんや自分の精神状態など色んな事と闘い、でもそれを顔に

出さないように必死だった事を考えると心が痛みます。

笑顔の裏にある辛さや苦しさを分かってあげる事ができず、

私は旦那のどこを見ていたのか・・・申し訳ない気持ちで一杯です。

 

夜、19時過ぎに主治医が病室へ来ました。

「奥さんにも治療の予定のお話を聞いて頂きたい」という事で

詳しい話を直接聞く事ができました。

 

今回から使用するパクリタキセル+サイラムザは休薬1週を含む

4週1クール。副作用も前回のオキサリプラチン+ゼローダとは

違い、目に見えるものがでること。なので注意しながら進めていく

という事を話してもらい、雑談などしていたところ

「それとですね、僕3月一杯で転勤になるんです。で、引継ぎは

違う先生にお願いして行く事になりますが、治療の方はここで

続けていけるし、心配のないようにしていきますので安心して下さい。」

 

えーーーっ!!!!

 

まさかの主治医の転勤。予定外でした。想像もしてませんでした。

旦那がお願いします!と頭を下げて、この先生を主治医として

治療を始めてから3か月。信頼関係ができつつあった中での

転勤に私も旦那も動揺を隠せずにいました。