「ミュージカルの歌を歌いたい!」
それが私がボイストレーニングを始めたきっかけ。

今ではもっと幅広い歌を歌いたくて、
クラシックの歌にも挑戦している。

私は自分の声が嫌いだった。
低くて可愛くない声。
女性特有の高くてキラキラした可愛らしい声にずっと憧れていた。


「キャー」って叫んだこと無い。
それは私の性格のせいでもあるけど、私の声で「キャー」って似合わない。
「うわっ」とか「おおっ」とか、男の子みたいな感じだった。
(今でも「キャー」とは言わないけど・・・)

「この声を生かせるのは宝塚の男役ぐらいだな。」と思っていた。
(本当になれたら、それはそれで幸せだったけど(^_^;))
子供の頃は、着るモノや立ち振る舞いも、女の子らしいのは恥ずかしくて、
スカートはなるべく避け、色味も可愛いモノは避けてきた。
本当は、スカートもピンク色も大好きだったのに。

何が嫌だって、小学校でみんなで歌を歌うとき。
みんなが平気で地声で歌える音域が、私には出ない。
裏声にしてみても、カスカスした空気漏れのような声しか出ない。

とにかくコンプレックスだった。
歌うことは大好きなのに・・・。

でも、歌を習い始めて、何度か発表会に参加し、
色んな歌を歌う生徒さん達を観ながら、ふと思った。

「みんな個性的で、面白い!」

そして気がついた。


人はみんな違っている。
一人一人、個性を持って生まれている。
背の高い人、低い人。
目が大きな人、細い人。
数え上げればキリが無い。
声だってそうだ。
みんな違った声帯と身体を持って生まれてくる。
使い方だって様々だ。

声だって、みんな違っていて当たり前。
むしろそれが個性なんだ・・・って。

世の中に多くの楽器があって、それぞれ違った音を奏で、
演奏者によって音楽が変わるのと同じ。
みんな違う楽器を持って生まれてきているんだ。
演奏の仕方も色々なんだ。
だから、面白い!

そう思ったら、俄然、人の声に興味がわいてきた。
歌の聴き方も変わった。
その人の声で、この歌は、どんなふうに奏でられるのか。
それがとても楽しくて、感動的だと思うようになった。

まだまだ、自分の楽器を鳴らし切れていない人、
自分の声の個性をよく知っていて、曲を選ぶ人、
声だけじゃ無く、身体全部の表現を使って歌を伝える人・・・。

声って、素敵だ!

私の声は私だけに与えられたもの。
まだまだちゃんと鳴らし切れていない。
でも、レッスンの成果は少しずつ積み重なってきた。
カスカスだった裏声もちゃんと歌に使えるようになった。
音域も広がった。
自分では今まで聞いたことの無いような声にも出会えた。

まだまだ磨ける!

もっと磨いて、夢だったLiveをやろう!
私の声を面白いと思ってくれる人がいるかもしれない。

今はワクワクしている。
私の楽器は、どんな音を奏でてくれるのか。

相変わらず、話す声は低いけど、
そんなのもう、気にならなくなった。

だって、私だけに与えられた世界で唯一の楽器なんだから。