うちの家族はデカい!
自分がデカいのは、小さなころから認識していた。
学校で整列するときは、並びはいつも一番後ろ。
少なくとも後ろから3番目より前に並んだことはない。
私達の世代は女子の方が多かったのか、
フォークダンスの時は後ろの余った女子は男子の後ろに回され、いつも男役。
「女子やりたーい!」とひそかに思っていた。
上から肩越しに手を回すほうじゃなくて、肩に手を回して包まれてみたーい、って。
そのせいなのか、元々なのか分からないけど、女の子らしくすることに抵抗があった。
スカートなんて恥ずかしくて、なるべく履かないようにしていたし、女の子らしい振る舞いも苦手だった。
ちなみに、家族の身長は以下のとおり。(全盛期)
父(昭和18年生まれ):170cm
母(昭和21年生まれ):160cm
私(昭和43年生まれ):167cm
弟(昭和47年生まれ):175cm(多分)
今はもっと大きな人はいるけど、それぞれの世代の中では、大きい方だと思う。
一緒に暮らしている私たちは、それが普通だったけど、デカい家族なんだと思わされた出来事がある。
それは、弟が結婚することになり、両家の家族で顔合わせの食事会をした時の事。
緊張の面持ちで向かい合う両家。
「うん?何だこの違和感は・・・。はっ!うちの家族、デカい!」
向かい合うお嫁さんの家族と、あまりにギャップが!
そうなんです。
お嫁さんのご家族は、皆さん小柄で、一番大きなお父様でも私より少し小さいぐらい。
「うちの家族、壁みたいじゃない?威圧感になってない?」
などと考えながらも、会は和やかに終えたのだが。
そんな私たち家族だが、両親は年齢とともに小さくなっている。
話は変わるが、私は父との折り合いが悪かった。
酔った父に食って掛かり、時には取っ組み合い、飛び出して車を出す父をとめようと、
走り出した車にしがみついて引きずられそうになったり。
命がけだった。
何を言っても、訊く耳をもたない父を、それからは避けるようになっていた。
自分の心を守るために・・・。
そんな父も数々の病気や怪我を経て、ドクターストップもあり酒を断っている。
衰え行く足腰のために、毎日30分の散歩を欠かさない人になっている。
まあ、本質のわがままさは変わっていないが。
今は、生き方が不器用な人なんだと思えるようになった。
実家に帰るたびに、背中が丸くなった父を見て思う。
「小さくなったな。今は私の方が大きいや。」
母も痩せて、一回り小さくなった気がする。
これからは、大きな私が小さくなった父や母を守ってあげる番なんだろうな。
そんなことを時々、考えている。
私もやっと、大人になったのかな・・・。