お父さん | 春待ちの桜の夢の尾となりて

春待ちの桜の夢の尾となりて

いつか来るはずの春を夢見て、明日を信じて。。。進んでいこう。
大丈夫。。。明けない夜はないのだから。
たとえ今は、明日の光すら探せなくても。。。
まずは一歩、踏み出そう。みんな一緒だ。そして、みんな。。。勇者だ。

盆があけた

今年は誰もお線香をあげにこなかったなぁ
まぁ、パンデミックだし
仕方がないね
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じぃちゃんの入院が決まった
かつて、私のスーパーマンだった正義のヒーローは
認知症で童返りをしていて
いまや。。。
タイムトラベラーだ
私のことを「おばちゃん」と呼び
夕方になると生家へ帰りたがる
 

家族が待っているのだと言う
兄弟が待っているのだと言う
 

残念ながら、その家はもう無いし
兄弟もみんな、空の上の住人
何度、説明してもすぐ忘れるから
言っても仕方ないのだけどね
一昨日も朝、10時過ぎに

もう朝だから起きてねと言ったら

まだ寝ていたいらしくて

ベッドに横になったままこう言った
 

「もういいよ、学校やめるから」

タイムトラベラーになったじぃちゃんは

学生時代にトリップしてたんだね

神様は時に残酷だ
あれほどプライドが高くて

論理派で誰かを論破するのが大好きだった

弁のたつじぃちゃんから
ついには言葉までも奪ってゆくんだね
 

人は、大切なものから失うのかもしれない

入院しても
帰りたがるだろうなぁ
帰りたいのは
やはり子供の頃をすごした生家なのかなぁ
家族の住む自宅じゃなくて
ただ。。。
じぃちゃんにもう帰る家はない
老々介護でばぁちゃんも限界だし

この認知症で

お嫁ちゃんには大変な迷惑をかけた

8年?前のあの日。。。
生きようとして生きたくて
私達も生きてほしくて
癌の手術を乗り越えたよね
膀胱も腎臓の一つも尿管もなくして
それでも、未来を求めて頑張ったよ
じぃちゃんも家族もみんな。。。
それが間違えだったなんて思ってない
思ってないよ。。。

そりゃあさぁ
この未来はじぃちゃんの望んだ未来ではなかっただろうけど

私にはじぃちゃんが生きていてくれることが支えになっているよ
だってじぃちゃんはずっと
私を守るスーパーマンなんだから
それは今も変わらない
たとえ、私のことがわからなくなってもね
それだけは変わらない

だから。。。

寂しくても頑張れ

それくらいしか言えないけど
ね。。。
お父さん。。。

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