なにか悪さをすると父に殴られたわけだが、その腹いせにぼくを弟を叩き、その弟はもう一つ下の弟に痛みを伝えた。
「世の中うまいことなってるなぁ」
と思うのは兄たちだけで、痛みのしわよせを受ける一番下の弟はたまらなかったであろう。
「チャールズ」
それが彼の英語名であり、三人兄弟の真ん中は、
「リチャード」
という名前だった。
ここで初めて明かすが、ぼくの日本名は<大(だい)>である。では<大>とくれば、次は<中(ちゅう)>かとなるが、実はその通りで、ぼくの弟には<中>がいる。
もっともこれは末弟のチャールズの方であって、リチャードは<力(りき)>である。