「わざわざ見送ってくださって、ありがとうございます。では先輩、行ってきます」
ジョオはさわやかな笑顔を浮かべた。
「おお、気をつけてな」
ぼくは返事をし、続いてなんとなく、
「ところで、お金はあるのか」
と聞いてみた。
深い意味があったわけではなく、本当になんとなく聞いただけである。
するとなんともびっくりすることに、ジョオは、
「いいえ、実は一万五千円ほどしかないんです」
と、これまた涼しい顔で答えた。
ぼくはすぐにジョオの言葉が理解できずに、頭の中で一万五千円一万五千円と何度かくり返してみた。