型破りな後輩 2 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

「わざわざ見送ってくださって、ありがとうございます。では先輩、行ってきます」
 ジョオはさわやかな笑顔を浮かべた。
「おお、気をつけてな」
 ぼくは返事をし、続いてなんとなく、
「ところで、お金はあるのか」
 と聞いてみた。
 深い意味があったわけではなく、本当になんとなく聞いただけである。

 するとなんともびっくりすることに、ジョオは、
「いいえ、実は一万五千円ほどしかないんです」
 と、これまた涼しい顔で答えた。
 ぼくはすぐにジョオの言葉が理解できずに、頭の中で一万五千円一万五千円と何度かくり返してみた。

 
------前頁----目次----次頁--