祭壇の上になにやら石ころのような物が転がっていた。ジェームズはそれを指して、豚の骨と言った。
「えっ、豚の骨!?」
ぼくはギョッとした。そんなぼくの反応がおかしかったのか、ジェームズは、
「うーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ」
と奇妙で気色の悪い笑い声を上げた。
その様子にぼくもおかしくなり、あっはっはっはっと笑いが込み上げてきた。
そこにとても温かい心の交流があるように思われた――だけだった。
ジェームズはなんの前触れもなく、まるで突然に笑いを収め、ヒゲもじゃの無表情に戻った。そしてまたしてもクルリと背を向け、さっさと歩き出してしまった。
ぼくの笑いは中途半端に宙をさまよい、ぼくはしばらく口をポカンと開けたまま残された。
(や、やはりこいつだけは分からん……)
この男とはぺースがあまりにも違い過ぎた。
ヒゲもじゃジェームズ(ナフィヌア付近 1994年)