得体の知れない男 6 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

 祭壇の上になにやら石ころのような物が転がっていた。ジェームズはそれを指して、豚の骨と言った。
「えっ、豚の骨!?」
 ぼくはギョッとした。そんなぼくの反応がおかしかったのか、ジェームズは、
「うーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ」
 と奇妙で気色の悪い笑い声を上げた。
 その様子にぼくもおかしくなり、あっはっはっはっと笑いが込み上げてきた。

 そこにとても温かい心の交流があるように思われた――だけだった。
 ジェームズはなんの前触れもなく、まるで突然に笑いを収め、ヒゲもじゃの無表情に戻った。そしてまたしてもクルリと背を向け、さっさと歩き出してしまった。
 ぼくの笑いは中途半端に宙をさまよい、ぼくはしばらく口をポカンと開けたまま残された。
(や、やはりこいつだけは分からん……)
 この男とはぺースがあまりにも違い過ぎた。

                   ヒゲもじゃジェームズ(ナフィヌア付近 1994年)
 
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