3-9 社内イベント 2 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

「早くせんかい! グズグズするな、この馬鹿もんが! えっ、どうするんだ!?」

 ゲームが始まるや否や、ぼくは社長に罵倒された。

 これまでに見たこともない怖ろしい表情に訳が分からなくなった。のみならず、他の社員たちもみな必死の形相を浮かべ、あたりに殺気だった空気が充満した。
 一回のゲーム時間は決まっていた。ゲームは八名で行われた。自分の順番が回ってくるたびに意思決定権が与えられた。

 各自、決定が早ければ早いほどゲームの回転も早い。それだけ順番が多く回ってきて、儲けるチャンスもある。
 だからぼくは、早くせんかいと怒鳴られたのだ。
 この“遊び”は三回続いた。一回終了するごとに成績表が張り出された。
 全社員の順位が明らかになった。
 おいちゃんによればぼくには商売の才能があるという。当然ながらぼくは優秀な成績を収めるはずだった。

 

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