2-6 山の村ナフィヌア 2 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

 舗装されていない道路のデコボコが直に伝わり、乗り心地は最悪だった。
 ぼく以外にも多くの乗客がいた。みなそれぞれの村で降りた。目的の船着き場に到着する頃には、トラックに残っていたのはぼくだけだった。

「さあ、着いたぞ!」

 運転手は疲れた体をほぐすように腕を回した。アウキをあとにしてから、三時間ほど経っていた。

 だが、船着き場には誰も待っていなかった。ビリ-の影も船の形もなかった。
 しばらく海を眺めた。遠くの空に黒い雨雲が見えた。
 それでも迎えが来る様子はなかった。
「君をこのまま放っておくわけにはいかない。とりあえずわたしの村にでも来なさい」
 かなり待ってから、運転手はそう言った。

       木と葉っぱの簡易な家(ナフィヌア 1994年)
 
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