1-2 大きな夢を描け 4 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

 では、ぼくはどうだったか。

 たしかに周りの学生たちには――ぼく同様に――目標がないように見えたが、少なくとも彼らには大学を卒業し、どこかの企業に就職する資格があった。

 対してぼくには文字通りまったくなにもなかった。卒業も就職活動もお金も夢も嘘もクソもなに一つなかった。

「このままろくでもない人間で終わるのではないか……」
 本気でそう思った。
 この時期特にすることもなく、日々は限りなく退屈だった。

 これまで拳法に注いできたエネルギーは内部にうっ積し、しきりに出口を求めていた。

 なのにその出口は一向に見つからず、ぼくはすっきりしない毎日を送っていた。 

■ サイド 「師匠のもう一つの教え」

六甲台第1キャンパス(神戸大学六甲台)
 

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