では、ぼくはどうだったか。
たしかに周りの学生たちには――ぼく同様に――目標がないように見えたが、少なくとも彼らには大学を卒業し、どこかの企業に就職する資格があった。
対してぼくには文字通りまったくなにもなかった。卒業も就職活動もお金も夢も嘘もクソもなに一つなかった。
「このままろくでもない人間で終わるのではないか……」
本気でそう思った。
この時期特にすることもなく、日々は限りなく退屈だった。
これまで拳法に注いできたエネルギーは内部にうっ積し、しきりに出口を求めていた。
なのにその出口は一向に見つからず、ぼくはすっきりしない毎日を送っていた。
六甲台第1キャンパス(神戸大学六甲台)