夢京市右京区青空通虹彩上ル自由ヶ丘町

http://www.miho.or.jp/


信楽の山のてっぺんにある MIHO MUSEUM に行きました。


前から行ってみたかった美術館のひとつで、金沢21世紀美術館と、香川の豊島の美術館がほかにありますが、前者は数年前に訪問済です。

JRの石山駅からバスでぐんぐん山の中に入っていくのですが、アクセスが悪い。帝産の路線バスが前から走ってくると軽でも離合できない山道・・・うまいことバックできないドライバーがいてバスのドライバーが窓から顔出して、シッシッと追い払うように手を振りながら「左寄れ!左!」と苛立ちながら声を上げていました。アクセスがろくすっぽ整備されていないのは、もともとそこは「大戸川ダム」という名称で谷ごとしずめてしまうのを、もったいないの嘉田知事が全部ひっくり返してしまった経緯があるから。流石に水没予定地だけあって、美術館の周りは人家は一軒もない山の頂上で、そこに電気や水道などのインフラを引いただけでも、長嘆息が出そうです。

お金の出所?某宗教団体です。美術館のスタッフは、みんな信者さんで、美術館から見えている向かいの山に、巨大な神殿がそびえています。美術館は一応宗教とは切り離されていて、勧誘も宗教行為もされませんし、スタッフの方は皆丁寧で穏やかな方ばかりです。あとミシュランガイドその他海外の観光雑誌に観光スポットとして紹介されているので外国人観光客が多かったです。


夢京市右京区青空通虹彩上ル自由ヶ丘町

それにしてもこの紅葉。まだ11月3日ですよ(笑)。

一昔前までは、近畿地方では冬に冷え込むと「信楽では-1●℃まで下がりました」と気象予報士が言うのが冬の定番でした。そこで、信楽町役場(現甲賀市役所)から、


「信楽に嫁が来なくなる」


という抗議を受けて信楽ネタがなくなりました。信楽が寒いのは標高が300mぐらいあるから。美術館の標高はもっと高い。日がかげると恐らく気温は10度以下だったと思います。ジャケット羽織っていっても風が吹くと寒くて寒くて。


夢京市右京区青空通虹彩上ル自由ヶ丘町

美術館の建物は見てのとおり、萱葺き屋根の農家をモチーフにしています。ルーブル美術館のガラスピラミッド(ダヴィンチ・コードに出てきました)を設計した建築家の作品です。

展示物は、常設展は日本の美術品と、オリエント(エジプト・中東~中国朝鮮)の美術品のブースに大別されていて、所蔵品の質は特筆すべきものがありますが、11月の今は特別展の時期で、


古陶の譜 中世のやきもの-六古窯とその周辺-


がメインでした。日本六古窯(信楽・瀬戸・常滑・越前・丹波・備前)の草創期、平安末期から室町時代に作られた装飾品よりも極めて実用性の高い甕・壺・鉢の展示でした。

日本において、邸宅や焼き物などの日用品に華麗な美が求められるようになったのは、室町時代の後半以降、大名や商人、地方の豪農が財力を蓄え始めてからの事です。出自に正統性を欠く彼らは血統のかわりになる支配権、庶民の支持を得ることに熱心で、その一環として芸術家を保護してきました。それで日本固有の芸術は飛躍的に発展してきますが、平安末期から室町前期の混乱期は、皆が生き残るのに精一杯ですから、装飾の美ではなく実用的な美が好まれました。

京に近い丹波の焼き物は、当時から優美な形をしていましたが、他の窯、特に今の愛知県の窯は特に武骨で、いかに物を保存するかという役割の枠内での進化を徹底的に追求したことを想起させました。それでも、じっと展示品を見つめていますと、何というか、心の中に安堵感が沸いてきます。人の手垢のついて、愛着を受けたものは脳で考える以前に、血や肌といったフィジカルな部分が精神を引っ張り、人々が求めていくのでしょう。


展示品を見終わった後は美術館内のレストランでお昼にしました(周りになんもないから必然的に美術館内から出られなくなる)。


夢京市右京区青空通虹彩上ル自由ヶ丘町

MIHO MUSEUMを経営している教団は美術館のすぐ近所に自然農法の農園も持っていて、そこで獲れたお米や野菜は、美術館内のオーガニック・レストランで出されます。肉や魚はメニューに一切なくて、結局注文したのは揚げたての野菜の天婦羅と手打ちうどんのセット・・・でも、びっくりするぐらい味がよかったのです。薄く切った大根や蓮根はかじると甘く、青菜は香りが強く鼻をつきました。油もいいのを使っていると思います。あれだけうまい天婦羅を食べたのは物凄く久しぶり。

母親の実家が山奥の農家なので、子供の時に遊びに行くと、農薬や化学肥料を使わない、裏庭の地成りの野菜を好きにもいできて食べていました。スイカやトマトやキュウリを冷やして、塩もつけないでそのままかじります。トウモロコシもありました(トウモロコシの茎を牛に食べさせていました)。普通にご飯を炊くだけでも味が違うような場所だから、普段何となく食べている野菜がご馳走に感じられました。


今回は特別展で、常設の展示品が全部押しのけられている状態だったから、一冬越して、春に常設展示が復活したときにリピートしたいです。

美術館、いいですね。