#山梨県立美術館 #縄文展 #小川忠博

 素晴らしかった。美術館での縄文土器鑑賞は珍しい。

 土器紋様の展開撮影を開発した小川忠博氏の文様展開写真とのコラボが強烈なインパクトだ。

 

 世界遺産登録遺跡となった青森県是川遺跡の記事

 

 

でも書いたが、八ヶ岳南麓の中期縄文土器群は学術的な価値とは別に原始美術としての芸術性が世界に誇れるものではないか?(世界の人に観てもらいたい)

 小川さんとは40年前にお会いしたことがある。小金井市の中山谷遺跡の土器群の文様展開写真撮影をするというので見学させてもらったのだ。

 一個一個パターン化されていない縄文時代中期土器の文様展開は衝撃的だった。しかし、考古学研究では「根拠のない想像は学問ではない」とされ「紋様の意味とか解読はやる意味がない」と研究ではあまり用いられなかった。

 しかし、40年経っても疑問は解けない。なぜこの時期だけこれほどの豪華絢爛、非パターンの文様が出現したのか?対比される新潟の火焔土器はおこげや吹きこぼれ痕といった生活使用痕があるが、水煙土器は綺麗な完形品が多い。これを煮炊きで使うのは非合理すぎる。

 謎は謎として、芸術としての解釈は色々あって良いと思う。芸術は論理ではなく、時空を超えて心で感じるものだから。県などという行政区画ではなく、広い地域を包括して観てもらいたい企画だった。

 ただ惜しいのは本物の土器と文様展開写真が重なるアングルを探すのに苦労する。美術館だけに配慮がほしかった。