●はじめてのホツマツタヱ⑧ | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

▼ワカ姫のまじない歌

第七代両神の第一子として筑波のイサ宮 
(茨城県真壁郡付近)でお生まれになった
ワカ姫が成長され、イサワ(三重県伊勢市)
の宮にお仕えしている時、
キシヰ邦(和歌山地方)の稲田で
ホヲムシ(いなご)の大発生がありました。

この時、留守のアマテル大御神に代わり
正后セオリツ姫とワカ姫が行啓し
民の嘆きをお聞きになります。

二人は古の教えに従い「ヒアフギ」(桧扇)
で扇ぎながら、ワカ姫が祓いの歌を詠むと
ホヲムシは徐々に離れ始めます。
そこで皆で声を合わせ360回繰り返すと
稲虫は飛び去り、稲も蘇ったのです。


これは稲虫を祓うワカ姫のまじない歌で、
古語に「西の海ぞろり」という厄払いの
呪文として残っています。



▼ヌバタマと桧扇

ワカ姫が稲虫を祓った呪いの背景には
往古からの教えがあります。

古来ヌバタマ(アヤメ科の多年生植物)
には厄災を祓う呪力があるとされ、
12枚の葉を広げた形状は扇のようです。

桧の板を薄く削り、同じく12枚で作った
桧扇はヌバタマの「モノザネ」(神に祈る
心を託して身近に置く物)で
同じ呪力を持つと考えられました。

国を守り治める者は桧扇にお日様の図柄を
入れて(日扇)身に着け、
それで扇げば抂事(まがごと)を祓い
天が晴れる(アッパレ)と言い伝えられて
きたのです。

ヌバタマ(ヒオウギ、烏扇)の実
ヌバタマの葉


▼三十二音の祓い歌


文章や歌を五七調に刻むのは
日本語固有のリズムに合うからですが
桧扇の12枚が持つ呪力に
アワ歌48音が持つ言霊の力を合わせると
その呪力は倍増します。
そして言霊の力を引き出すのは
32音のワカの歌なのです。


人の生命リズムは
太陽と月の運行から支配を受けており
地球上では皆、太陽の運行に従い
三十一日周期で生きています。
ワカの三十一文字(みそひともじ)も
ひと月の日数に相当します。


しかし月の満ち欠けの周期は30日足らずで
太陽より一周遅れ、そのため
月の影響を受ける女性特有のリズムは
三十二日周期となります。


これは太陽と月の運行の差ですが
この時に汚穢物(オヱモノ)が入り込もうと
狙っているのです。その汚穢物を祓う歌は
三十二音で「声が余る」のです。


お宮参りの日を、男は三十一日目
女は三十二日目とするのは、
この生命リズムに従っているのです。



▼和歌の道を立てたワカ姫

このように地球を取り巻く天体の
回転運動に適応した生活をする事が
縄文日本の思想の根本であり、
その中心には和歌の道があったのです。


稲虫を祓ったワカ姫の功績は後の世まで
残り「キシヰ邦」から「ワカの邦」に
改められ、後の和歌山県になります。
ワカ姫が暮らしたタマツ宮がある海浜も
「和歌の浦」となりました。

タマツ宮でワカ姫は恋に落ちるのですが、
思い兼ねてアチヒコに渡した和歌が

キシヰコゾ  ツマオミキワニ  コトノネノ
     トコニワキミオ  マツゾコヰシキ
(キシキ去年   夫を身際に   琴の音の
         床に吾君を    待つぞ恋しき)

という見事な回文(回り歌)で、これには
言葉を返すことも、変えることも封じて
詠み手の願いを叶える呪力がありました。


願い通り二人は結婚し、
ワカ姫はシタテルヒメ(下照媛)の称え名を
賜り、アチヒコはオモイカネ(思兼神)
という神名で呼ばれました、


和歌山県和歌の浦にある
玉津島神社(創建年代不詳)