●田谷の洞窟(定泉寺・田谷山瑜伽洞)~大船(横浜市栄区) | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

知る人ぞ知る、
でもほとんどの人はきっと知らない・・
関東最大!てか他に例がないであろう
人工手掘りの「地底伽藍」ダー!!


そう、単なる自然の洞窟じゃないんですよ。
多分縄文時代からあったであろう洞窟を
平安、鎌倉から江戸時代までの行者たちが
延々掘り続けた、、密教の修行窟。
広い!深い!       で、なんとなんと
二層三層の立体構造!スゴいぞ、これ。



大船駅から車で5分。
地元民には何の変哲もない、ド田舎の
生活道路沿いにあるため、実は
10年以上スルーしてた。なんてことだ。



お寺は定泉寺。(じょうせんじ)
洞窟は田谷山瑜伽洞
たややま、ゆがどう、と言う。



素朴な御堂に、弘法大師のお姿。
洞窟の見学は、ここで申し出て
奥の山の方へ向かう。


入口手前に手燭となる木が置いてあり
各々1本ずつ持って入る。
ロウソクが置いてあるので、装着し点火。
どきどき、わくわく。



狭い入口、中はひんやり、真っ暗ケ。
撮影禁止なので、内部は資料写真より。


アリの巣みたいに沢山、部屋があってね、
壁や天井には様々の仏画や曼荼羅、仏像等が
彫られ、ロウソクをかざして鑑賞する。
壁面は全て、脱獄犯がスブーンで穴掘る
映画で見たようなあまりに生々しいノミ跡。
湿り気を帯びた、人の手の息遣い、、




静かな暗がりを進路に従って歩くうち、
知らぬ間にふと上に、、下から?
他の人の持つ灯りがスっと揺らめき過ぎる。
幻想的だわぁ。


日天、月天と名付けられた通気孔からは
上層階が覗ける。なんちゅう複雑構造!
溝には水が流れ、どこからか吹く風に
ロウソクもしばしば吹き消されてしまう。



さらに中味の充実っぶりがまたスゴい。
胎蔵界、金剛界を梵字で表す種子曼荼羅や
阿字観、大師堂、五大明王、、等々 
三密瑜伽の修行ができる立派な密教道場。


最近「三密」と検索するとコロナしか
出てこないけど、本来は密教用語。
手で印契を結び、真言を唱え、瞑想する。
「身口意」の三密による瑜伽(ヨガ)の行で
本尊と一体化し、即身成仏を目指す。



そんな本格的な修行に加え、時代と共に
庶民信仰にも門戸を開き、地蔵、子安供養、
家族の健康を願う人々の想いが刻まれる。
 

四国八十八ヶ所、秩父三十四観音霊場、
西国三十三観音霊場、坂東三十三観音霊場
などを拝める部屋もあり、まるで
全国霊場を集めたミニチュア総拝霊場の
宝石箱やー。
ここに来れば、全国のお参りができる!
江戸の庶民の夢を叶える聖地なんであーる。



この洞窟に関する調査は2つしかない。
昭和49年、早稲田大学理工学部の数名が
内部構造を明らかにし、
翌50年サンフラワークラブ・ロアジール
アカデミー研究会という旅行クラブによる
本格的な調査が行われたのみ。


しかし一部崩落箇所もあり、どの時代に
どの彫刻ができたのか、、
鎌倉時代の和田合戦で落ち延びた
朝比奈三郎はどの穴から何処へ脱出したのか
、、細かい謎はいっぱいあるという。




洞窟の中には、一つの願いをこの御分身に
毎日願い、叶えてもらった人が
また納めに来ているお部屋もあったよ。
私は何をお祈りしようかなぁ。。



私は空海さん大好きなので、
密教に欠かせない宝具の五鈷杵(ごこしょ)
と、桜の木の念珠も戴いてきた。 
なんか、なんか、嬉しいの〜♪(o^^o)



この洞窟が「鎌倉石」という、あまり
頑丈ではない岩盤に造られたにも拘わらず
関東大震災にも耐え、バッチリ残っている
のは、湧き出る豊富な地下水により
窟内が常に湿っているからだとか。


しかし、寺の正面に広がる田畑では
今現在、絶賛高速道路建設中。。
工事の影響で、この地域の水脈などが
侵されぬよう、祈るのみ。。


あ、コレを一願にしようかな。
絶対、残って欲しい場所だから。ね。




車で5分、大船駅には大船観音さま。

御朱印は今、書き置きだからって、
素敵なクリアファイルに入れてくれたよ。
さすが、いつも優しい大船観音ちゃん。
山越しに田谷の洞窟を見守って下さいませ。