こうなりゃついでだ。
愛読書は空海シリーズ第六弾。(完)
性霊集は空海が折々に書いた文章を
弟子の真済が十巻に編纂したもの。
朝廷への願文や、書簡、碑文など、
空海の人柄が垣間見えて、微笑ましい。
歯の浮くお世辞もあり、人たらしあり、
だけど、処世術だけではない
空海独特の明るさと可笑しみを感じるんだ。
その現れか、、密教以外の宗派を全て
密教より格下にランク付けしたにも拘わらず
当の他宗派高僧の為の文章が多い。
奈良仏教の長老の心もバッチリ掴んでいる。
特に嬉しいのは、鑑真と共に来た
青い眼のペルシャ僧・如宝と親しくしていて
朝廷への上表書を代筆してあげてること。
●永井路子「氷輪」で日本政府が鑑真一行に
充分な手当てをせず、鑑真亡き後の如宝が
唐招提寺創建に苦労したって読んだから。。
空海が如宝さんを助けてくれていたなら、
その優しさだけで、好きになっちゃうよ(^^)
2009年TBS系列特別番組。中村獅童が如宝。
可愛がっていた甥でもある、弟子の智泉を
亡くした時の文章にも愛と優しさが溢れる。
哀れなるかな、哀れなるかな、
本当に哀れなるかな
悲しいかな、悲しいかな、
重ねて悲しいかな。
・・・・
釈迦がシャーリプトラ(舎利子)を亡くし、
孔子が顔回を亡くしたのと、同じなんだな。。
白檀の厨子入り持ち運び仏像。高さ23㎝。
そして、乙訓寺で蜜柑が千個も採れました~
と嵯峨天皇に贈る手紙の可愛さに、クスリ。
一緒に唐に渡り、一緒に違反して帰ってきた
友人・橘逸勢が、朝廷に許しを乞うの
代筆ときたら、私はバカでアホで・・的な
ミソミソな言いように、思わずニヤリ。
私が密教を気に入ってるのは、自分自身が
大日如来と同体だ、と思うことは即ち
他人もまた同じ、と大切に思うことで、
空海には常にそんな
差別無用のおおらかさを感じるんだ。
そして性霊集には関係無いけどね、
空海の「書体」もこんなに自由で、大らかだ
とは、知らなかった!
大和州益田池碑銘(重文) 【雑体書】
奈良山中の溜池が完成した事を祝う 52才
それにつけても、そもそも、そもそもの話、
恵果と空海の出会いの不思議さに
思いを馳せずにはいられない。
そして50年経たず、中国の密教は破壊される。
いろんな不思議が重なって、
空海は本当にギリギリのタイミングで、
密教を日本に運んできた。
山岳修業をしていた19才の頃、
室戸岬の洞窟で明けの明星が口に入った。
空海は高野山奥の院でまだ生きている、
と言われている・・・・
どうですか。
この日本人だけの特権! 空海パワー。
大日如来、じゃピンと来ないけどね、
この空に空海がいる、この海にも空海がいる
私の中にも空海がいて、
夫も息子も、隣の人も上司も空海だ、、と
思えば、確かに大らかな気分になるのです。
(*^-^)/\(*^-^*)/\(^-^*)