愛読書は空海シリーズ第三弾に至って
ようやく、私は空海の尋常じゃない偉大さに
気づき、若干呆然としている。。。
他の宗教者等と同列に考えるものではない!
曼荼羅なら中央に位置すべきもの
3Dなら富士山の、いや、エベレストの頂上
にあって、全世界を見下ろす存在。
全く別格なのだ、、と思い知らされる。
空海によれば、この世の中心は唯一法身たる
大日如来のみで、かの釈尊も、普賢、観音、
その他ぜーんぶ!の仏様は、大日如来が
身を変えて出現した「応化身」なのだ、と。
そして密教以外の宗教を全て「顕教」と呼び、
人は皆、能力も好みも抱える悩みも違うので
それぞれに合う教えを、大日が応身を通して
示している。でも顕教ではある所までしか
伝えられない、限界があるのだ、と。
つまり密教とは、他の宗派と対立するもの
ではなく、全てを包括して中心にあるもの。
だから空海は他宗と争わないんだね。。
そして般若思想とは、大乗仏教の中心的思想
の一つで、「仏陀になるための知恵」。
これを説く般若経はインドで作られ、数百年
の間に六百巻に及ぶ大経典になった。
般若心経はこれを元に
新たに作られたお経だ。
三蔵法師玄奘の漢訳本が、奈良時代に日本に
入り、呪術的な効用がある、と珍重され、
大般若経六百巻の要約・・・のように
古くから思われていた。
でも空海の理解は全く違う!
「心経」は大般若菩薩の「心の中」を示した
お経であり、表面的な訳は同じでも
語句の中にもう一段、隠された意味がある。
さらに一字一字にも隠れた意味がある。
正しく密教の経典なのだ、と。
なるほど、密教の「密」の意味が解ってきたぞ!!
その「隠された意味」のスケールのデカさは
ちょっと感動的だよ。目からウロコ。
例えば
「色即是空、空即是色」は華厳宗の法界縁起の
教えを指している。
「不生不滅」は三論宗の教理に相当する。
「無限界、乃至無意識界」の部分は法相宗、
「無智亦無得」は天台法華宗の境地
・・・・等々、般若心経の中には全ての宗派の
教えが網羅されている、という!
一番最後の、ひたすら唱えるのみ・・だった
部分にも、空海は明快に意味を開示する。
はじめの「ギャテイ」→声聞乗(小乗仏教)の
人々の修行と成果を表す。
第二の「ギャテイ」→縁覚乗(同じく小乗仏教)
「ハーラギャテイ」→大乗仏教諸宗の行果
「ハラソウギャテイ」→真言密教の行果
そして最後の
「ボウジソワカ」→ 仏教各宗派それぞれの
目的が達成されました。。という意味です。
・・と、なんとも素晴らしい万能の教えが
秘密に隠されていた、、というわけ。
摩訶般若波羅蜜多心経・・確かに名前からして
密教のお経ぽいとは思うけど、、
奈良時代から今に至るまで、ほぼ全宗派で
唱えるお経だけに、「密教経典」とすることに
反論もある。これを空海は
★医者でなければ薬草を見わけられないのと
同じで、深い趣旨に気づくか気づかないかは
見るものの眼力による。(密教眼)
★蛇が脱皮して龍になった後、龍に蛇の鱗が
1枚残って見えても、もう蛇ではないように
般若心経は般若経から生まれ変わった別物。と、空海らしい超論理で一蹴する。
訳者の加藤さんが「空海の独壇場」と言う、
この般若心経の密教的解釈、
私、マジスゴいと思うし、
空海さんに見えていたのは仏教の統一、
それによる世界平和。感動的にデカい。
空海が三教指帰を書いたのが24才、
秘蔵宝鑰を57才、
そしてこの秘鍵が入滅の前年、61才の書。
訳者の加藤さんは、この本は
空海が後世の人々に残した希望だ、と。
密教の広さ。空海の大きさ。般若心経の深さ
・・・・・・・・・・
これはなんと、後の鎌倉仏教である
阿弥陀信仰も妙法蓮華経の教理も含み、
過去も未来も全世界も、、、
凡てを包括する宇宙の中心は、大日如来で
その体現者が、私、空海です。 ・・という
とてつもない、とてつもない、とてつもない
お話し。。 やっぱり呆然とするしかない。
サンスクリット=(梵語)で
マントラ=真言(仏の真実の言葉・秘密の言葉)
ダーラニ=陀羅尼(記憶して忘れない呪文)
スヴァーハ=薩婆訶(真言の末尾に使う)
パーラミ=波羅蜜(悟りの世界へ至る修行)