●よみがえる万葉人 @永井路子 | ★50歳からの勉強道~読書録★

★50歳からの勉強道~読書録★

本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

万葉集って自由だなぁ。
堂々、記名で自分の気持ちを発表しちゃう。
この潔さに比べりゃ、現代の匿名SNS、
不倫で謝罪の芸能人、イケてねー。


幕末や明治の偉人は、みな歌を詠んでた。
いつから、日本人は歌の素養を無くして
しまったんだろう?
せいぜいサラリーマン川柳? 面白いねアレ。


謝罪会見なんかせず、歌で心情を吐露する
ってどう?    正直にさ。具体的に。
で、皆が評価して、批判したり、共感したり
する。以上終わり!
文春砲やら、よってたかって不祥事吊し上げ
やら、、もう沢山だ。






●但馬皇女、高市皇子の宮に在す時に、
    密に穂積皇子に接ひ、
    事既に形はれて作らす歌一首

という注釈がバッチリついて、

        人言を繁み言痛み己が世に
                  いまだ渡らぬ朝川渡る  


高市の宮での密通がばれ、噂もうるさい。
私から穂積の邸に出かけ
こっそり早朝、川を渡って帰ってきたわ。


習慣など無視した奔放な行動。かっくいい。






片や、妻に浮気された高市皇子も負けじ!
愛した異母妹・十市皇女の死に対し、


       山吹の立ちよそひたる山清水
                汲みに行かめど道の知らなく


山吹の黄と、山の泉で「黄泉の国」を指す。
座布団2枚!黄泉の国まで訪ねていきたい・・
という、なんと情熱的W不倫。






そして恋の女王、但馬のヒメミコに愛された
穂積皇子は、但馬が死ぬと


        家にある櫃に鍵刺し蔵めてし
                 恋の奴がつかみかかりて


もう恋なんてしない♪と封印したのに
またもや恋に落ちる!
「恋のやつ」なんて擬人化する辺り、相当な
テクニシャンだわ。、とミチコ先生も羨んで
恋のロンドはエンドレス!
まだまだ続く!    人間だもの。







ミチコ先生が持統女帝に成り代わって
ぷんぷん怒るのが、有名なあの歌。


       春過ぎて夏来たるらし白たへの
               衣干したり天の香具山


これが500年後、京都に都が移った平安時代
新古今和歌集の時代に、チト変化して
百人一首ではこうなる。


        春すぎて夏来にけらし白妙の
               ころもほすてふ天のかぐ山


持統サマになったミチコさま曰く
「あんなの後世の改悪です。私は認めません!
第一、百人一首とやらのカルタの絵は何です?
私はあんなもの着てませんよっ!」
仰有るとおり。

これじゃ、江戸娘がジーンズスタイルで
描かれてるようなもんですよ。

持統サマは高松塚ふうじゃなくちゃね。





万葉集を編纂した、といわれるのが
大伴家持で、もともとは武門の家系。
藤原氏との対立構図で見られるけれど、
ミチコ先生、すでに大伴氏は牙を抜かれ
そんな力は無い!と指摘している。


家持の父、旅人が藤原房前に琴を献上する
媚び媚びのウサン臭い歌&手紙を残していて
これは長屋王一味と見られない為の
アリバイだろう、と。。


気持ちが見える万葉集には、
政治を動かす人の気持ちも見える~
なんと活き活きとした、歴史資料。
いやー、楽しかったよ。ミチコ先生。


大伴家持クンはモッテモテ。
多くの女性から愛の歌を贈られている。