●「ご冗談でしょう、ファインマンさん」Ⅰ・Ⅱ ~ノーベル賞物理学者の自伝 @訳/大貫昌子 | ★50歳からの勉強道~読書録★

★50歳からの勉強道~読書録★

本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

リチャード・フィリップ・ファインマンは
1918年生まれ、アメリカの物理学者。


MIT、プリンストンで理論物理学を学び
戦時中はマンハッタン計画で原爆開発、
戦後1965年には、日本の朝永振一郎博士と
共同でノーベル賞を授賞した。。

と、いうと立派な学者様なんだけど・・・
実はかなり破天荒でオモロイ、「ならず者」。

タイトルの「ご冗談でしょう・・」には
お上品な英国のご婦人からオホホ・・と笑われ
ちゃう、型破りの自由人ぶりが現れている




とにかく目立ちたがりで、イタズラ好き。
茶目っ気たっぷりに相手をケムに巻いたり、
アッと驚かせたりするんだけど、
それが全て、類い稀な「頭脳犯」なわけで、
普通のヒトにはできない、高レベル悪戯。
楽しいよねー

イケメン!


大の得意は「金庫破り」。
マンハッタン計画に参加していた25才の頃
原爆の全資料、国家機密である3つの金庫を
ルパンよろしく置手紙して盗み去る。


本人的には、「厳重さが足りないっスよ」
という警告のつもりなんだけど、
人騒がせにも程がある、、で、笑っとる。

原子爆弾開発のため、ロスアラモスに
物理学者が集められた。1943年
*写真はNHK「神の数式」より。←メチャ面白い




この超人的離れ業も、この頭脳あってこそ。

錠前の構造を理解する探求心、分析力。
攻略する最も効率的な手段の検証、発想力。
設定されたキーナンバーも、相手の性格を
心理分析して、短時間に正解を導きだし、
最後にアッと言わせる演出まで計算済だー!

マンハッタン計画の上司、オッペンハイマー



しかもなかなかの女好きで、
酒場で女性を口説くにも様々な計算で
モノにする。
かと思うと、音楽も好きで、ドラムを叩き、
ブラジル出張中にはサンバボンゴを覚え
カーニバルの最前線で演奏したり・・・

と思うと、絵を描きたい!  と
デッサンを習い、個展を開いて
作品が売れるまでに上達する。
もちろん絵はヌード。
とびきり美人のモデルをスカウトする手管も
様々計算の上、見事に成功させている。

めっちゃ楽しそう。


一転、物理学に関しては
上下も権威もヘチマもあるか!てやんでぃ!
ってくらい、偉い人にも噛みつく硬派で
まぁ傍若無人。権威なんてクソ食らえ!

「権威をひけらかす人」を常に冷やかし、
「もったいぶった馬鹿共」は
徹底的に軽蔑する。
こんなカッコいい物理学者、他にいる?

ノーベル賞はファインマン、シュウィンガー
朝永振一郎の共同授賞。量子電磁力学の功績


荒廃した戦後日本、この朝永振一郎さんの
研究室から大発見がなされた。


ノーベル賞は型式が面倒で、その後も制約が
多く、「あんなのもらわなきゃ良かった」




ファインマンさんは、ヒットラーに先越され
てはならん!と、原爆研究に参加したけど、
実際に広島、長崎で使われたことで、
日本には特別の思いがあるようだ。


戦後、何度か来日し、日本的な情緒を
楽しむ様子が沢山書かれていて、
旅館の風呂場で湯川秀樹博士と遭遇した
話など、面白い。

拾い画。前にいるのは南部陽一郎さんだね。



この自伝の日本語訳を任されたのは、
科学者でもない、ファインマンの子供の
単なるママ友さんで、
「人がどう批評しようとどうでもいい。
君が自分で満足できる仕事をすれば、
それでいい。」   って言ってくれたそう。

理窟が通らにゃ許せねぇ!
ナゼかべらんめぇ調がよくお似合いで、
なんだか  ●福翁自伝  とよく似てる~


さらに残った無限大の謎を、
1984粘菌超弦理論が解決した。
ジョン・シュワルツとグリーン



謎解き大好きファインマンさんは、
物事の本質を見極める。
本当の意味を理解する。
生き方がとてもシンプル。そして正直。

ひょうひょうとして天衣無縫。
偽善や空威張りを見ると決して容赦しない。
これが、ファインマンスタイル。

「ファインマン物理学」とも言われる。