●長岡半太郎~原子力時代の曙 | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

長岡半太郎は、江戸末期の慶応元年生まれ
の物理学者。(1865-1950)


東大、ドイツ留学で原子や地球物理を研究し
明治・大正期は、長く東京帝国大学教授、
大阪帝国大学(阪大)初代総長でもあるお方。


ことに、「長岡式原子模型」と呼ばれる
土星型の原子モデルの提唱や、
「長岡係数」というよくわかんないけど・・ご自身の
名前がついちゃう、デカい業績の持主。


そのデカい意味を理解する頭は無いけれど・・

には、
「1904年、長岡半太郎が初めて
原子核の存在を予言する原子模型を提出、
1911年ラザフォードが実験的に証明、
原子核に巨大なエネルギーがあることが
明らかにされた。」
とあり、正に原子力の先駆けなのね。






この本は伝記ではなく、いろんな雑誌や新聞
に掲載された、ご本人の雑文を集めたもの。


ドイツ留学の思い出や、最近の(昭和初期)
科学界に寄せる所感などを語るんだけど、
本当に原子力黎明期の人なので、
「物理学の歴史」に出てくる人達とリアルに
交流してて、レジェンド感がハンパない。


有名なボルツマン(オーストリア・1844-1904)は
実際に教わったので「ボルツマン先生」だし、
キュリー夫妻とは物理学会を共にし、
数学者ポアンカレの講義も聞いている。

ルードヴィッヒ・ボルツマン
電磁気学、熱力学。エントロピーとか有名






ヘルツ(1857-1894)もフレミング(1849-1945)
も同時代だし、第一回ノーベル物理学賞を
受賞した、レントゲン(1845-1923)は
「レントシェン」と呼んでいなさる。


日本初のノーベル賞・湯川秀樹さんのことは
「湯川」または「湯川君」。
同じ原子力研究者で、「湯川君」を推薦したの
も長岡博士だ。    博士の時代は、
まだ黄色人種にノーベル賞は早い、と
言われてたとか・・  明治時代だもんねぇ。



ちょっとネガティブな想いもあるのか、
「アルフレッド・ノーベルは、ダイナマイトの
開発者で平和目的と言いつつ、熱心に爆薬を
製造し、抜け目なく事業を広めた」 と解説し
「爆薬の研究に一生を犠牲にしたノーベル」
とも。・・これディスってんのかな~(^^)


ノーベル賞のアルフレッド・ノーベルは
「ダイナマイト王」、「死の商人」と呼ばれた!





アインシュタインに好きな文学書を尋ねたら
「カラマゾフの兄弟」と言っていた、
彼はヴァイオンリンの妙手でもあった、
なんて話もあったな。


長岡博士自身は、中国の古典に詳しくて
特に荘子が好きだそう。
普通に面白かったのは、ホトトギスの稀有な
生態を挙げ、自然界の摂理から人間界へ、
文学論や中国論に発展する。


時鳥、不如帰、子規、郭公、杜鵑とも書く
ホトトギスは、巣を持たず、他の鳥の巣に
託卵し、しかも産まれた雛は本来の雛を
背負い投げで巣から落とす。親鳥は自分より
大きい謎の小鳥を、仕方なく育てるそうだ。


長岡半太郎が提唱したのは土星型原子モデル
原子核の周囲を数千個の電子が輪のように
回っている、と考えた。







かよう知識は多岐にわたり、経験豊富、
独自の道を究めた、明治人のお話しは
どんなことも謹聴に値する。


ダイナマイトでは平和にならないが、
原子力は平和利用ができる、と仰る長岡博士。
国家プロジェクトもんじゅの失敗、
核のゴミ、、現状を見たらどう思うだろう。


国立科学博物館のレリーフ