●完本・梅干と日本刀 @樋口清之 | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

新年からまたもや素晴らしい本を読んで
しまった。「日本人の知恵と独創の歴史!」
書かれたのは1974年。(昭和49年)
学生時代に話題になっていたっけ。


著者の樋口清之さんは、登呂遺跡などを
発掘調査した考古学の第一人者で、この本
のヒットで「梅干し先生」とも呼ばれる。


タイトルから判るように、戦後間もなく
日本に来たこともない外人が書いた
日本人論  「菊と刀」  (ルース・ベネディクト)に
対抗するものであり、


占領軍によって否定され、忘れ去られつつ
ある、「日本の良さ」を取り戻す、
日本人による、日本人のための、
思い出せ日本人!!!!!  の、熱~い書なんだ。







日本が鎖国を解いた時、西洋人が一番驚嘆
した技術が、浮世絵と日本刀だった。


浮世絵は世界中の様々な美術品に影響を
及ぼす。さらに日本刀は、西洋科学で分析
しても、ついに再現できなかった・・という
「日本ならではの知恵」の結晶なのだ。


注目すべきは、日本にコークスが無く
鉄を溶解する1800度の高温が出せない、
という、そもそもの不利な自然環境。


これを踏まえた数々の工程、鍛え方、水加減
などなどが、実に、自然と、驚くほど、
「気づかぬうちに科学的」っていうのが
スゴいとこなんだなー。


これ全て、自然と調和するための「観察眼」
の賜で、「自然を克服する」西洋人と、
「自然には逆らわない」という日本人の
違いを、見事に象徴する物証なのだ。






なぜ日本のお城だけが、敵の侵入を防ぐために、「城壁でなく堀を引いた」のか。


なぜ日本の食事は「ごはんとおかず」なのか


外国人が食べないタクアン、梅干し、納豆
ごぼう、こんにゃくを、
なぜ日本人は食べるのか?


中国から入ってきたズボンや袖付貫頭衣が
なぜ、袴と着物に変わったのか?


彼岸花が人里にしか咲かない訳は?


七草、桃の節句、菖蒲の節句、ほおづき市
菊の節句・・・これ全て薬品で、健康管理
スケジュールを年中行事で広める知恵なのだ


天皇家の菊の御紋は、本当は菊の花じゃなく
結び目なんだよ。


なぜ日本人は「切腹」するようになったのか


江戸っ子が「神田の生まれでぃ」と自慢する訳


エトセトラエトセトラ・・・早速ツイートしたいような,
林先生これ知ってますか?と、初耳学に
発表したいような、深イイ話がてんこ盛りで
これらを知らずに日本人であることは、
なんだかとっても、モッタイナイぞ。







読んでて嬉しかったのは、
「日本人は無意識に日本人を信頼している」
ってこと。


究極は世界に類のない、「富山の置き薬」。
忘れて引っ越ししても、なぜかちゃんと
引っ越し先に現れる、ネットワークの密度と
共に、日本人が共存意識、相互信頼を
失うことは、これからも無いはずだ。と。






日本人は猿真似上手、なんて批判された
こともあるけれど、それは違う。
未知の物を貪欲に受け入れ、全く別の物を
生む  「触発現象による文化の再生産」 こそ、
日本人の得意技なんだ。


あんことパンであんパンを作り、
ペンとアップルもくっつけてみる日本人は
ごぼうとこんにゃくを食べてる限り、
地球上で一番最後まで生き残るだろう・・と
樋口先生は予想する。いいぞ、日本人!


メタルとダンス。本来は絶対相容れない
要素をくっつけたBABYMETALも、
超日本的触発現象かな。 
So  crazy!  but  amazing.