阿闍梨【外伝】一隅を照らす

❖幸せホルモン

引用 天台宗公式サイト 法話集




 

幸せホルモン


「皆さんはどんな時幸せだと感じますか」と問いかけると、ほとんどの方が「美味しいものを食べた時」「旅行に行ったとき」「子どもや孫と一緒に居るとき」「趣味のカラオケやテニス、コーラス・・・・をしている時」「ペットといっしょにいるとき」などの答えが返ってきます。


 そうした時に出るホルモン、喜びや楽しみ、やる気といった幸福感を与える物質を、俗に「幸せホルモン」と呼んでいます。幸せホルモンとして代表的なのが、セロトニン、オキシトシン、ドーパミン呼ばれる3つの物質です。


 中でも、オキシトシンは「出産・育児の際に分泌されるホルモン」として知られ、研究の結果、幸福感や安らぎを与える、信頼感や共感が増し社交性を高める、痛みや不安や恐怖心を和らげるといった効果も期待されることが分かってきました。


 中でも、オキシトシンは「思いやりホルモン」と呼ばれ、 相手を思いやったり、親切にしたり、助け合ったりすると、体内のオキシトシン量は増加し、幸福感が増すそうです。つまり、幸福感が足りないと感じたら、人にやさしくすることで良い効果が期待できるということです。


 心許せる友との会話や食事、家族団欒のひととき、旅行や趣味、ペットとのふれあいも幸せなひとときですが、人や社会に役立つこと行動をすることで感じる幸せが、より多くのオキシトシンつまり「幸せホルモン」を分泌し、自分も幸せな気持ちになり、それが、心の安らぎや安定、ひいては健康につながるそうです。


 伝教大師のお言葉の中に『己を忘れて他を利するは慈悲の極み也(忘己利他)』という言葉があります。この言葉だけを聞くと、人や社会の幸せのために犠牲になれと思う人もいるでしょうが、そうではありません。人に親切にしたり、人や社会のために尽くしたりする行動が幸せホルモンを分泌し、ひいては自分も幸せになれる。きっとそうおっしゃっているんですよ。



(文・裹寺 榎本 義譲)

掲載日:2024年08月01日

https://www.tendai.or.jp/houwashuu/kiji.php?nid=266



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